2012年10月28日日曜日
Carl Zeiss Tessar 40mmF3.5 (Rollei35)
今回はレンズ単体ではなく、Rollei35に付いている【Carl Zeiss Tessar 40mmF3.5】です。
沈胴構造のため未使用時にはこの様に収まっているレンズですが、左下に写っているボタンを押しながらレンズを引き出すと・・・
綺麗なメッキが施されたレンズ鏡胴が現れます。レンズ最前面にピントリングがあり、距離計を持たないRollei35は目測での距離合わせとなります。小さなレンズですがピントリングの動きはガタが一切無くとてもしっとりとした感触です。
Carl Zeiss名の入った銘板。レンズのコーティングも綺麗です。
6枚構成の綺麗な絞り羽根もスムースな動きで精緻な造りを感じます。
レンズシャッターのRollei35はシャッター音がとても静かです。巻き上げ、ピント調整、絞り操作、シャッター操作・・・全ての操作が軽快なコンパクトマニュアル機ですが、上質な部品が精度の高い造りで組み上げられているのが実感できる一台です。
触って、眺めているだけでも楽しめる【Rollei35】でした。
2012年10月26日金曜日
Industar-61 53mmF2.8 (L)
前回に引き続き旧ソ連ロシア製のLマウントレンズ、インダスター【Industar-61 53mmF2.8(L)~FED】です。
レンズ構成:3群4枚
最小絞り:f16
最短撮影距離:1m
フィルター径:40.5mm
前回紹介したIndustar-22と並べてみました。大きさは22よりも一回り大きく固定鏡胴なので存在感はありますが・・・、重量を計ると22が120gで61は130g、ほぼ同じ重さです。61の方が大きいので実際に手にした印象では22よりも軽く感じる程です。鏡胴の外形寸法(ピントリング径約53mm)の割にレンズ径が小さいのと鏡胴がアルミ製というのが軽さの要因なんですね。
ヘリコイドリングの端と鏡胴の端に少しずつアルミ地が出ておりデザイン上のアクセントになっています。距離スケールはオレンジ色、深度目盛りが黄色、絞り値が白と色分けされているのが若い世代(1980年代生まれ?)のオールドレンズという印象ですね。
正面から見ると外径の割にレンズ口径が小さいのがよく分かります。銘板の刻印文字もサイドに刻まれたスケール値同様にラフな仕上げです。
ヘリコイドの動きはスムースで、絞りリングのクリックストップもカチッとしているのですが、アルミ鏡胴の軽さのせいか操作感としてはどうしても安っぽい印象になってしまいますね。黒ボディに黒レンズ、見た目のマッチングはなかなか良いと思うのですが・・・。
写りはフレアっぽさが見られやや甘い感じの印象で、よく見るとエッジ部の滲みが見られ、所謂ねむい画質かもしれません。ただ光線の状況によっては色のりも悪くなくコントラストもまずまずの結果が出ていると思います。レンズの状態を見たところ後玉は曇りなども無く綺麗な状態なので、前玉の軽い拭きキズが影響しているのかもしれませんが、これもレンズの特徴として柔らかい表現を狙いとして楽しむ一本かと思われます。
Industar-22同様、お手頃価格で気軽に楽しめるロシア製レンズ【Industar-61 53mmF2.8(L)~FED】でした。
2012年10月25日木曜日
Industar-22 5cmF3.5 (L)
旧ソ連ロシア製Lマウント標準レンズ【Industar-22 5cmF3.5(L)~KMZ】です。
レンズ構成:3群4枚
最小絞り:f16
最短撮影距離:1m
フィルター径:36m(19mm)
Leitz Elmar 5cmF3.5レンズのコピーレンズということなので・・・二つ並べてみました。遠目から見るとほとんど同じレンズのようにも見えますが、細かく見ると違いが・・・。
一番目に付くのは鏡胴部・・・経年の使用でスレが出てくる部分だと思うのですが、インダスターの方はピッカピカですね。このエルマーもかなり綺麗な部類だと思うのですが随分違います。あまり使われていないせいなのか、メッキが厚いのか?中古カメラ店で見かける沈胴Industarも綺麗なものが多いような気がします。インダスターは台座部分にもメッキのリングがあしらわれており、エルマーよりもちょっと飾りっ気を出してみたという感じですね。
正面を見ると絞りリングの形状が、エルマーは爪があるのに対し、インダスターはローレットが刻まれたリング状となっています。距離スケールと被写界深度目盛りの刻印も違っていて、エルマーでは台座プレート側に深度目盛りがあるのに対し、インダスターは逆で距離スケールが刻まれています。
銘板やスケールの刻印がエルマーはシャープでキリッとした印象ですが、インダスターはややぼけた感じですね。台座プレートのエッジ処理もインダスターは仕上げがちょっと雑で・・・鏡胴のメッキは綺麗なのになぜかこの部分はラフなのです。
これら見た目の違いは細かい点なのですが・・・一番感じるのは操作感であったり造りの精度が違うという点です。勿論、個体差はあると思いますが、沈胴の引き出しや収納時のガタつき具合や、ヘリコイドや絞りリングの感触にそれは現れています。
では写りの方はどうでしょうか・・・
2012年10月24日水曜日
Canon LENS 35mm F3.2 (L)
キャノン35mmF3.2(L)(#74980)~1955年~、キャノン製のライカLマウント広角レンズです。当時のキャノンSレンズシリーズは『SERENAR』ですが、本品はSERENAR名の入っていない『CANON LENS』名となった時代の一品です。
レンズ構成:4群6枚
最小絞り:f22
最短撮影距離:1m
フィルター径:34mm
鏡胴のメッキがとても美しい外観ですね。絞りリングのみ梨地仕上げとなっているところが外観上のアクセントとなっています。シンプルですがどんなボディにも似合う洗練されたデザインだと思います。
絞り値、距離、被写界深度が刻まれた各目盛りも丁寧な仕上げです。絞りリングは適度なクリック感で、ヘリコイドもスムースで良い感触です。操作系にガタは無く精緻な造りを実感出来ます。ピントリングに細くローレットが刻まれていますが、実際の使用ではやや細すぎる為、無限遠ロックノブで操作する方が楽にピント調整が出来ます。
ライツエルマー5cm/F3.5用のフード(FISON)を付けてみました。ぴったりと装着出来ます。見た目にも違和感はありませんね。マイクロフォーサーズではケラレもなく問題無く使用できます。
そして専用の外付けファインダーです。マウントアダプターでミラーレス機に装着する場合は不要かもしれませんが、35mmフレームを持たないレンジファインダー機では重宝されますね。こちらも酷い曇りもなく十分実用可能なクリアさを保っています。
レンズ本体とファインダーが行儀良く収まる専用の革ケースも味があって良い感じですね。現代のモノとは明らかに違うぬくもりが感じられ、このケースがあるだけでこのレンズを所有する喜びが増してきます。
マイクロフォーサーズで使用すると35mm判換算70mmレンズ相当の画角となるので、ポートレート写真にも使いやすいと思います。ピント面は非常に解像度が高くシャープな写りで、コントラストもしっかりしたレンズだと思います。
フィルム時代の写真撮影は無駄撃ちをしないようにという緊張感が多少なりともあったと思います。デジタル時代の今、撮影時の緊張感や現像プリントを待つ時のわくわく感をもう一度再確認してみるのも良いかもしれませんね。そんな時はこんなレンズを付けて銀塩の世界へ行ってみたいと感じた【Canon LENS 35mm F3.2(L)】でした。
2012年10月10日水曜日
Leitz Collapsible 50mm × 4
ライツLマウントの50mm沈胴レンズを4本並べてみました。左から・・・
Elmar 5cm/F3.5(L)~1956
Elmar 5cm/F2.8(L)~1956
Summicron 5cm/F2(L)~1952
Summitar 5cm/F2(L)~1950
です。こうやって横に並べてみと、沈胴構造を持つ同じ焦点距離のレンズでもそれぞれに特徴があり、微妙に異なる点が面白いですね。正面から見るとレンズ前玉の開口径の大きさはこれだけ違うんですね。左のエルマーF3.5から右のズマリットF2まで、レンズの明るさ順に並んでいます。コーティングの色や状態の違いもよく分かります。それにしても特に右から2本目のズミクロンはやっぱり黄色いですね・・・シリアルは104万台の初期型沈胴ズミクロン・・・ということはやはり酸化トリウムによる変色なのでしょうか?断定は出来ませんが・・・。
4本とも沈胴構造であること、無限遠ロックノブが付いていること、そしてLマウントの標準50mmレンズであるということが大きな共通項です。
左2本は両方エルマーですが、形状は台座部分や絞りリングの構造に違いが見られます。シリアルナンバーからするとこの2本は同じ年齢(1956年生まれ)です。”沈胴エルマー”というとやはり左端の初期型F3.5に愛着を感じてしまうのですが、F2.8エルマーは絞りリングも通常の位置となり使い勝手は良好です。
右2本、ズミタールとズミクロンはとてもよく似た外観ですね。鏡胴の長さが異なるだけで、台座、リング、刻印等々ほとんど同じ様な形状です。
60歳前後となるこれらのレンズですが、これまでどの様な人が、どの様なシーンで、どの様な光を通し、どんな写真を作ってきたのか・・・レンズに触れながらそんな想いを馳せてみるのもオールドレンズの楽しみ方ではないでしょうか。
2012年10月5日金曜日
Wollensak Cine-Raptar 1inchF1.9 (C)
16mmシネフィルム用Cマウントの『ウォーレンサック シネラプター 1inch(25mm)F1.9』~#969948です。
アメリカ製のこのシネレンズはコンパクトなサイズですが意外と重量感もあり、真鍮製の鏡胴に丁寧なメッキが施された外観に触れてみると、とても高い質感が実感出来る一本です。専用フードも厚みがありしっかりとした造りなので、これを付けるとレンズと一体成形されているように感じてしまうほどです。ピントリング、絞りリング、フードと段々に径が小さくなってくる先細りデザインはシンプルですが格好良いですね。
絞り値F5.6~F22の刻印と、距離25feetの刻印が赤文字になっているのが、デザイン的に大きなアクセントとなって外観イメージをお洒落に引き締めています。
マイクロフォーサーズ用のマウントアダプター・・・Cマウントのフランジバックはマイクロフォーサーズよりも2~3mm短いのでこの様に内側に入り込む形状に・・・。
サイズが小さいのでミラーレス一眼に付けても品良く収まり、重量バランスも良好なので軽快な撮影が可能です。絞りリングやヘリコイドにガタが無くトルク感が適度なので、ストレス無く使用できて撮影に集中出来るのも嬉しい点ですね。ヘリコイドの回転量はほぼ一周360度近くあるのも特徴で、その分ピント調整は的確に行えるということになります。
マイクロフォーサーズで撮ってみると・・・周囲がケラレていますがこれはフードによるもので、フードを外すとほぼケラレは無くなります。ピントが来ているところはシャープですが周辺はかなり流れています・・・イメージサークルが小さいCマウントレンズのこういった性質を作品に生かすのも面白味の一つとなってきますね。
カラーではコントラストが高く、かなり派手な発色の写りがより一層はっきりとしてきます。ボケの面白さと、高コントラストで色のりがよいという特徴を持ったこのレンズは、遊びながらアート系の写真作りに使ってみると面白そうですね。
造りの良さと、写りの面白さは一度使うとやみつきで、使えば使うほど愛着が湧いてくるタイプの【Wollensak Cine Raptar 1inch F1.9(C)】でした。
2012年10月2日火曜日
Leitz Summitar 5cmF2 (L)
ライツ ズミタール5cm F2(#723704)~1949年製、当時では大口径(F2)の沈胴構造のライカLマウント標準レンズです。
レンズ構成:3群6枚
最小絞り:f16
最短撮影距離:1m
フィルター径:36mm
先に紹介しました赤エルマー(5cm/F3.5)と同じ50mm標準レンズなのですが、開放F2を実現する大口径化により外観は一回り大きく存在感があるデザインとなっています。台座部分の厚みが1cm以上あるのでかなりがっちりした雰囲気があり、実際に手に持ったときの重量感もしっかりあってオールドレンズらしさを感じることができます。絞りや距離表示の刻印はシンプルに指標が刻んであるだけ、真横から見ると漢字の”工”を太くしたという直線的な形・・・『Germany』らしさを強く感じる外観形状です。
絞りリングはレンズ前部に設けられ、各絞り値でのクリック停止位置が無いタイプで、10枚の絞り羽根がスムースに動き円形絞りを可変させます。ピントリングは無限遠ロックが付いた構造で、こちらもスムースな操作感となっています。
このレンズの描写力もなかなかのもので、絞り開放からピント面はシャープ、自然なボケ味もあり(光線状況によっては所謂グルグルぼけっぽさも現れますが)、絞り込んだ時の解像感はとてもしっかりした印象です。特に順光条件での色のり、コントラストは非常に良く感じられます。
エルマーの様な可愛さは無いけれど、”モノ”としての質感や、味わいを十分堪能出来るオールドレンズの面白みが凝縮された【Leitz Summitar 5cm F2】でした。