2016年10月26日水曜日

SOM BERTHIOT 50mm F3.5 (L改)


 フランス製ソンベルチオのライカマウントレンズを検索してみると、広角系のアンギュロール28mmF3.3や、標準ではアナスチグマット50mmF2.8、フロール50mmF2.8などが存在しているようです。しかしこれら3本は希少性もあってかなり高額なレンズですので、おいそれと手を出せるものではありません。ベルチオは以前にも紹介したシネレンズ(LYTAR、CINOR)の味わい深い描写がとても印象的だったので、フルサイズで試せるものがないか何か探していたところ今回のレンズに巡り会うことが出来ました。
 正面の銘板には【SOM BERTHIOT 50mmF3.5】の表記があるだけでレンズ名などは刻印されておらず、ロシア製Lマウントレンズから拝借してきたと思われるヘリコイド&マウント部に合体させた構造になっています。鏡胴部に"ROYER"のロゴが入っていることから、どうやらフランス製レンズシャッターカメラのサボワ・ロワイエから取り外したレンズだろうと推測されます。以前に紹介したローデンシュトック製レオマーと同じ類いの改造レンズというわけです。


 レンズシャッターカメラの固定レンズということもあってか、5枚構成の絞り羽根や絞りリングの動き、各パーツの仕上げ等はずいぶんとチープな印象です。外観や機構はさておき肝心のレンズの方ですが、コーティングは施されていて、パッと見はいい感じかなと思いつつ、中を覗いてみるとちょっと残念、前玉側と後玉側共に薄いクモリがしっかりと確認出来る状態でした。


 絞り開放、もろ逆光でのカットから。低コントラストなのはクモリの影響もしっかりと出ていると思いますが、滲み具合と色のりがベルチオらしいとでも言うのでしょうか、シネレンズ(LYTAR、CINOR)の描写とよく似ているように感じます。


 開放では周辺減光が見られ微かに紗がかかったような描写も、絞り込んでいくと普通の描写へと変化していきます。ただし中途半端に普通の描写を求めるよりも、このレンズならではの開放での滲みやボケ具合の面白さを積極的に楽しむ方がレンズの個性を生かすのかもしれません。


 大胆にホワイトバランスを外してみたり、


 周辺減光をあえて利用した露出設定をしてみたりすることで、アートフィルターや後処理では出せない空気感を味わうことが出来そうです。

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