2013年8月26日月曜日

Leitz Elmar 9cmF4 (M)



 ライカMマウントの 【Leitz Elmar 9cmF4】 沈胴エルマー90mmF4 です。Mマウントの沈胴エルマー9cmは年代の割に綺麗な物を多く見かけますが、この個体もかなり良好な外観を保っている一品です。重量は340gほどあり、手にずっしりと重量感を感じるレンズで、ガタの一切無い沈胴機構やスムースなヘリコイドを操作しているとその精緻な造りに感動すら覚えてしまいます。現代のプラスチックで出来たレンズでは絶対に味わえない感触と、凝った造り、見た目の美しさを合わせ持ったこのレンズ・・・出来るだけ良好な状態で未来に残しておきたいモノの一つですね。


 鏡胴のメッキがとても綺麗です。


 見た目や感触でかなり好印象を持ったこのレンズですが実用面ではどうでしょうか・・・
 無限遠の位置でロックされていないと沈胴が出来ず、一旦沈胴させると無限ロックの解除は出来ないという構造になっている沈胴機構で、フランジ面からの長さを測ると約35mm沈胴させることで短くなります。引き出した時は約78mmですので、半分・・・まではいきませんが短くなることで携行性は良くなりそうです。


 Lマウントの固定鏡胴エルマー【Leitz Elmar 9cmF4(L)】よりもシャープネスが増している感があり、予想していたよりもコントラストもしっかりした写りで切れ味良くボケ味も自然で写りに関してもかなり好印象です。


 周囲をちょいと焼き込んでみました。


 柔らかで自然なボケ味です。

2013年8月21日水曜日

Leitz Hektor 5cmF2.5 (L)


 やや黄色味がかったニッケルメッキが渋く輝く【Leitz Hektor 5cmF2.5(L)】、製造は1930年~という事ですので80歳オーバーの超高齢レンズとなります。鏡胴のスレ、ピントノブの汚れ、メッキが薄くなったエッジ部等、外観全体から漂う雰囲気はいかにも『オールドレンズ』といった感で、製造本数が少なく比較的珍しいレンズという背景も相まって興味をそそられる一本です。
 早速いつものようにアダプターを介してミラーレスで試し撮りと思ったのですが、せっかく古い雰囲気のあるレンズなので、まずはライカに装着してみようと思い、付けてみたのがライカIIIf・・・


 ライカ同士でもっと似合うかと思っていたのですが・・・。このIIIfは1952年、やはり20年のギャップでしょうか・・・。クロームメッキのボディにニッケルメッキの沈胴ヘクトール・・・ややミスマッチかなという印象だったので、いつものように現代のミラーレスに・・・


 どうでしょうか・・・色合いのバランス的にはこちらの方がマッチしていますね。ニッケルメッキのレンズはブラックボディが良さそうです。


 エルマー50mmF3.5(沈胴)と基本的には同じデザインですがヘリコイドに無限遠ストッパーは無く、最短距離1mから無限遠までほぼ1周360度回転のピントリングです。操作感はガタつき無くそこそこスムースなのですが、エルマーと比べるとどうも”しっとり感”に欠けた感触です。ガタつきを抑えるためでしょうか、ヘリコイドねじの溝に板バネが仕込まれており、ここのテンションがやや強すぎるような印象です。板バネは無くても十分ガタの無い精度で組み上げられているように感じるのですが、当時は加工精度にバラツキが多かったのかもしれませんね。


 ノブ裏には0番の刻印が見られます。


 絞り値の大陸目盛り[2.5 3.2 4.5 6.3 9 12.5 18]が特徴的ですね。鏡胴に年代なりのスレはありますが沈胴構造にガタはなくしっかりとした状態です。シリアルナンバーが刻印された前面のリング部もペイントが擦れて真鍮の地金が現れてきていますが、これも時代を感じさせてくれる一つのチャームポイントとなってしまうのが『オールドレンズ』ならではと言えます。


 『ヘクトール』・・・レンズ設計者マックス・ベレクの愛犬の名前だそうです・・・愛犬の名前を自分が設計したレンズに付けるとは何とも微笑ましく羨ましいエピソードですが、そんな由来のレンズで我が家の愛犬を撮ってみました・・・


 薄曇りの条件下でしたので極端なフレアを感じることはありませんでしたが、全体的に甘いですね。開放でも、数段絞り込んでもピントの山がつかみにくいという状態です。パッと見は大きなキズやひどい曇りも確認出来ない光学系なのですが、如何せん古いレンズですので製造当初の性能を期待するのは無理ということかもしれません。


 シャープさよりも柔らかさや独特の雰囲気にこのレンズ特有の味を見つける・・・となるとやはりデジタルよりも銀塩で撮ってみたくなります・・・。

 ヘクトール5cmF2.5(L)・・・カラー写真の雰囲気はどうでしょうか・・・


 ヒメイワダレソウの”緑”がもう少し鮮やかに出そうな条件だと思うのですが、シャープネスの甘さ同様、発色に関してもやや渋めに再現されてしまうような印象です。


 こういったシチュエーションではモノクロの方が雰囲気が出そうですね。


 原色系でコントラストの効いた被写体だとそこそこ発色も良く見えますが、撮影中モニターにプレビューされる画を見ただけで『オールドレンズ』らしさを実感できるレンズです。



2013年8月11日日曜日

『植田正治写真美術館』


 カメラマガジン(no.19)を読み返していると『植田正治』に関する記事を発見・・・


 独特の雰囲気と空気感を持った写真にはとても惹かれるのもがあり、数年前鳥取にある『植田正治写真美術館』へ行った事を想い出しました。平日、開館直後に入館したのですがその時は既に何組か入場者がいてあらためて人気の高さを感じた次第です。


 館内から見える『大山』を展示物の一つとして随所に取り入れた構造はゆったりと時間をかけて楽しむことが出来る施設ですので、カメラや写真が好きな方には勿論の事『高松伸』設計の建築美を味わいにいくのも是非おすすめです。