2014年10月29日水曜日

Fish-eye-Takumar 18mm F11 (M42)


 前回に引き続き今回もM42マウントの超広角レンズ・・・【Fish-eye-Takumar 18mm F11 (M42)】フィッシュアイ・タクマーです。


 ヘリコイドは設けられていない固定焦点タイプで、リングは絞りのみ、外観デザインに特に目立つ特徴も無く、とにかく薄いレンズです。これほど『パンケーキ』という愛称がふさわしいレンズもなかなかありません。寸法は最大径が約58mm、最大長約20mm、フランジ面からレンズ先端までの長さは約12mmしかありません。M42マウントのフィルム一眼ボディに装着した場合はこの薄さが相当目立つと思われますが、ミラーレスのSONY α7に付けた場合・・・


・・・真正面から見ただけでは、直径の割に小さな瞳のレンズという印象だけですが・・・


・・・正面以外から見ると、アダプターの厚みがかなりあるので何だか普通の寸胴レンズに見えてきます。また18mmの画角とこのアダプター厚からすると内面反射等による影響が出やすい寸法関係になっていそうな気もします。

 
 とにかくレンズ単体ではとても薄いフィッシュアイ・タクマーですが、固定焦点であるという点とF11という明るさからして、実際の使用は日中の屋外で遠景を狙うというシーンに限定されてくるのかもしれません。 

 
 前回のミール20mmは歪曲のほとんど目立たない超広角でしたが、フィッシュアイ・タクマーはその名のとおり魚眼ならではの歪み具合です。遠景を狙ってもF11ではかなり甘さを感じる描写で、F32まで絞り込んでいくとそれなりにシャープになってきますが、周辺部は荒くエッジにはカラーフリンジが発生しています。また絞り込むことでレンズやセンサーに付着したゴミがしっかりと映り込んでしまう点も要注意です。
 

  近接側の撮影はフォーカスの限界に加え光量的にもちょっと厳しいですね。
 

  どの絞り値でも四隅にケラレが見られますが、もしかするとレンズの特性というよりもアダプターでケラレている可能性もありそうです。
 
 高精細でシャープな画質は期待出来なくても、魚眼ならではの歪曲を利用した構図と被写体を選んで、ブレや荒れの世界で楽しんでみるのも、フィッシュアイタクマーの生かし方としてはありかもしれません。

2014年10月26日日曜日

MIR-20M MC 20mm F3.5 (M42)


 七色に輝くコーティングの反射光を見ていると、レンズの奥に吸い込まれていきそうな感覚に陥る巨大な前玉の超広角レンズ【MIR-20M MC 20mmF3.5(M42)】ロシア・KMZ製のミール20mmです。
 このミール20mmというレンズは1970年代初頭には世に出ているようで、以前紹介したコーティングが施されていないタイプが前期型となります。今回のマルチコートMCタイプは後期型で、なんと近年まで製造が続いているとの事。1930~60年代ならまだしも、20~21世紀にまたがって40年以上に渡って同一のレンズ設計のまま生産されているという点は驚きです。

 
 前期型と後期型ではコーティングの有無だけでなく、鏡胴やリングのデザインも異なり、こちらの後期型は若干外径が小さくなっています。前期型はピントリング部の最大径が約90mmあったのに対し、後期型は約80mmと10mm程シュリンクされています。ただこの後期型はピントリングの造形が”ブルドーザーのキャタピラーの様”な、かなり厳ついデザインとなっていますので、見た目だけではこちらの方が重量級に見えるかもしれません。ところがリングやフード部分など樹脂製となっている部材も多く、質感や操作感に関しては総金属製である前期型の方に軍配が挙がりそうです。
 
 
 レンズ前面にフィルター枠が設けられていない点もこのミール20mmの特徴で、後玉側に付ける専用のフィルターが用意されています。枠は樹脂製でネジ径が約28mmの小さなフィルターですので、モノとしてはおまけ程度の品質です。これを実際に装着すると・・・
 
 
・・・この様にピッタリとはまります。ただネジ切りが浅いのでカメラ本体へ装着した後にフィルターだけ脱落してしまわないようしっかりと装着確認をしておく必要がありそうです。
 
 
 
 
 
 
 写りに関しては高いコントラストの描写が好印象で、ノンコートの前期型とは明らかに違いとして現れてくるポイントだと思います。ただ細部を見てみると繊細さはあまり感じられず、線がしっかりとした描写であるという特徴は前期型と同様です。
 引いてワイドに情景をとらえる広角本来のアングルから、最短18cmまでグッと寄ってのマクロ的撮影までこなし、歪曲も十分に抑えられている、そんな万能性を持つレンズが【MIR-20M MC 20mmF3.5(M42)】です。
 


2014年10月24日金曜日

Angenieux 1inch F0.95 (C)

 
 フランスのアンジェニューがアメリカ・映画機材製造の老舗であるベル&ハウエルに供給した16mmシネカメラ用Cマウントの大口径レンズ 【Angenieux  1inch F0.95 (C)】 です。フランス製のシネレンズと言えば以前にも紹介したサン・ベルチオ(LYTAR,CINOR)が味わい深い独特の描写を見せてくれるレンズでしたが、このアンジェニューもCマウント以外にALPA用やExakta用などのレンズが現在でも高い人気を得ています。
 
 
 開放F0.95という値は数あるCマウントレンズ群の中でも最も明るい部類で、そのスペックがいかなる描写を導き出してくれるのか、絞りリングとフード枠に刻まれた二カ所の "0.95" がオールドレンズファンの心を揺さぶります。また明るさだけでなく・・・
 
 
 アンバーとパープルの美しいコーティングが妖しく光を反射する様も、写りへの期待感を更に高めてくれます。『フランス製』,『アンジェニュー』,『F0.95』・・・とても興味をそそるキーワードからなるシネレンズの描写はどうなのか・・・イメージサークルのサイズを考えるとマイクロフォーサーズとのコンビがベストかと思いますが、まずはSONY α7でAPS-Cサイズにしたサンプル写真(絞り開放)です。
 

  最短撮影距離は約45cmですが、まだ20cm程余裕を残した位置からの1カットです。室内での撮影ということもあってかコントラストの低下はさほど感じられず、シネレンズとしてはすっきりとした描写です。開放での滲み具合についても、この様なシーンでは甘い滲みはほとんど感じられず、合焦部のシャープさの方が際立っています。ワンコの顔をピクセル等倍で切り出してみると・・・
 
 
 毛並みが細部まで描写されとてもリアルに再現されています。大胆なトリミングにも応えてくれそうな解像感です。
 屋外はマイクロフォーサーズのLUMIX GX1で試してみました。晴天の元での絞り開放となるとシャッター速度1/4000では露出オーバーになってしまうケースがほとんどです。ISO100以下の感度と1/8000のシャッターを搭載するボディであってもNDフィルターが必要となるかもしれません。
 

  デフォーカス部分に含まれるハイライトの滲みがかなり目立ちますね。
 

  極端なぐるぐるボケが現れやすい条件ですが、 【Taylor-Hobson COOKE KINIC 1inchF1.5 (C)】 等と比較すると収差の残り具合は大人しめといえます。
 

  前後左右に向かってなだらかにぼけていく様子はモノクロにすると際立ってきます。
 

  開放でのピント面の薄さはもっとシビアなのかなと予想していましたが、ファインダーの内蔵されていないLUMIX GX1でも何とか撮影をこなせそうなレベルです。
 

  シーンによっては盛大な滲みも現れる開放での撮影でしたが、合焦部のキレの良さはピカイチ、中心部だけ大胆に切り出したとしても十分鑑賞に堪える解像感が予想以上でした。シャープさと柔らかい甘さが同居し、これらが相乗効果によって印象的な画が生み出される、そんな不思議な感覚にさせてくれるのが【Angenieux 1inch F0.95(C)】でした。
 


2014年10月22日水曜日

Leitz Hektor 5cm F2.5 (L)


 沈胴エルマー5cmF3.5が画角的にもスペック的にも価格面でも当時の『スタンダードレンズ』とするなら、一段明るいこのヘクトール 【Leitz Hektor 5cm F2.5 (L)】 は大口径の高速ハイスペックレンズという位置付けで1930~31年に世に出たようです。しかし登場から2年後にはさらに半段明るいズマール5cmF2が発売され、高速レンズのポジションを明け渡してしまうという短い運命でした。そのため製造本数も少なく現代となってはやや珍しい部類に入るレンズです。
 この個体はニッケルメッキで半周回転タイプのヘリコイドを持つモデルですが、以前に紹介した無限遠ロックのない全周回転型モデルやクロームメッキのものなど、いくつかのバージョンがあるようです。


 黄色味がかった渋い光を放つこのニッケルメッキは何とも言えない独特の味わいがあって、いかにもオールドレンズという雰囲気を醸し出しています。


 当時のパンフレットを見ると「エルマーが開放から鮮鋭な描写であるのに対し、ヘクトールは若干劣る」との記述もあり、明るさを求めた結果、開放でのシャープさが損なわれたという認識は最初からあったようです。更には「数段絞ることによりエルマー同様優れた万能性を発揮」や「エルマーよりも二倍の明るさを持っているため、光量が不足している条件で大きな価値を持ってくる」という記述はハイスピードレンズの要求に応えようとするレンズであったことを伺わせます。一方で「人物や風景写真において上品にして魅力ある独自の画を作る」といった評価は正に今、このヘクトールを使ってみたいという肝の部分を的確に表していて面白いですね。
 では開放と数段絞った時の描写がどれ程違うのか 【SONY α7 + Hektor 5cmF2.5】 で見てみましょう。
 
 『止まれ標識』の右上角辺りをピント位置にしたのですが、シャープさの変化よりもまず開放での周辺光量不足がかなり目立ちます。数段絞る(絞り値指標は6.3~9の間で約F8位)と画面全域で光量は均一となります。
 
 この画像は上がオリジナル画像ですが、黒のしまりがない描写になっています。そこでシャドー側を補正したものが下の画像です。この2画像のヒストグラム(輝度データ)を見てみると・・・
 
 オリジナル画像(上)はシャドー側(0~18位)のデータが全く存在していないことが分かります。数値で見ると18以下のデータが無いので、約7%の階調がロスしているという見方も出来ます。ただこれが逆に本レンズの味に繋がっているという事も言えるわけで、特にモノクロ写真では黒つぶれしてしまうよりは、これくらいシャドー側が浮いている方が暗部の階調を後処理で再現させることが出来るという見方もあります。また色に関しては上サンプル写真の工事用三角コーンを見ても分かるようにかなり彩度の低い描写が特徴のヘクトールです。
 この様な特性を生かしながらいかに「上品にして魅力ある独自の画」にするか、被写体をじっくりと吟味して撮影と後処理を楽しみたいのが【Leitz Hektor 5cm F2.5 (L)】です。
 
 

2014年10月13日月曜日

ContaflexⅠ with Steritar

 3回続けてステレオカメラでしたので少し目先を変えて、今回はツァイス・イコン製一眼レフの最初期モデルである【Contaflex I】コンタフレックスI型を紹介します。レンズはツァイス・イエナ製テッサー45mmF2.8、シャッターはシンクロコンパー、露出計は無し、直線的でシンメトリカルな構成がとてもシンプルで好感の持てるデザインです。コンパクトなサイズ感で670g、巻き上げがノブ式ですのでちょっとまどろっこしいところがありますが、なんと言ってもファインダーがとても明るく見やすいのでピント合わせも快適で、当時としては相当使いやすい1台だったのではないかと思われます。
・・・と、コンタフレックス本体の話はここまでで、実は今回も・・・


・・・ステレオカメラとしてこのコンタフレックスを取り上げた次第です。その理由は、【STERITAR】ステリターというステレオアダプターが純正で用意されていたという点にあります。PENTAXや他のメーカーでも同じような商品がありますが、年代からして35mm判1コマをハーフ判に分割してステレオ写真とする最初の製品だったのではないかと推測されます。


 ミラーで構成された(上写真左)ステレオアダプターはスクリューマウントになっているので、まず(上写真右)マウントアダプターに付ける必要があります。マウントアダプターには真下の位置にロックピンが付いていて、最後までねじ込み回していくとパチンと位置が決まるという構造です。
 マウントアダプターにセットした状態で、カメラ本体のレンズ基部に切ってある溝に下側から滑り込ませていくと左右2カ所のラッチがかかり固定されます。それぞれのパーツはしっかりとした造りですので、これで概ねレンズセンターへの位置決めは出来ているようです。


 実際に装着すると、この様な感じでレンズ前面にアダプターが固定され単眼から複眼に変わるという訳です。通常の1コマのフレーム内に左右2コマを分離して写すという原理ですので、画角は本来の45mmレンズからは狭くなります。また像が左右に分割されるので、ファインダー中央にあるスプリットイメージは使えなくなり、中央に黒い縦線も入ってしまいます。


 色々な制約も出てくるレンズ前面配置アダプター方式でのステレオカメラですが、見た目の奇抜さであったり、単純にモノとしての面白さであったり、そして立体写真システムとしての機能そのものと、様々な側面から楽しめる一品が、【Contaflex I】と【STERITAR】なのではと思います。

 ここまで4回連続でステレオカメラを紹介してきましたが、どれも1950年代の個性的な機種ばかりです。これ以外にも数多くのステレオカメラがあって到底網羅することは不可能なのですが、過去のカメラ史を振り返る上で一つの大きなジャンルであり、外装デザイン的にも機能デザインとしても『カメラのデザイン』を考える上で非常に興味深い一群なのではと思います。またこれらカメラに触れていると、当時の立体写真に対する人々の『熱』が伝わってくるようで、少し普段と違う視点からちょっと変わったカメラに触れてみるのもいいものだなと感じた数日間でした。

2014年10月11日土曜日

Wirgin STEREO

 ステレオカメラが続きます・・・今回は 【Wirgin STEREO】 ドイツ・ヴィルジン社製ステレオカメラです。1950年代~エディクサ・シリーズを製造していたヴィルジン社で、このステレオカメラも海外のサイトなど見ると『Edixa STEREO』と紹介しているところをよく見かけます。ただ、このカメラは最初期の最もシンプルなⅠ型モデルで、ボディ本体に『Edixa』の表記はどこにも見あたりません。


 とてもシンプルなデザインで、カメラ正面にある大きな文字はファインダー対物レンズ左にある『STEREO』のロゴがほんの浅く刻まれているのみです。1950年代のステレオ・カメラを見ると撮影レンズの間のスペースに、ファインダーレンズが配置されていたり、メーカー名やカメラシリーズのロゴを置いているものが多いのですが、このカメラは貼り革で埋めているだけなので何か物足りなさを感じてしまいます。
 無駄なものをそぎ落とすという機能優先の思想が強かったのかもしれませんが、どうにも素っ気なく見えてきます。そこで、もし半分に切ってしまうとどうなるのか試してみると・・・


 どうでしょうか?・・・ディティールはさておき、意外にもこんなカメラなら実際に存在しそうと思えてきませんか?これならカメラのデザインとしての納得感が出てきます。”クロームと黒”という古典的な配色に加え、カメラデザインに対する固定観念がそう思わせるのかもしれません。
 横長に間延びしたシンプルすぎるデザインのヴィルジン製ステレオカメラですが、操作面に関してはとても使いやすい一台です。


 巻き上げがレバー式で、巻き上げ時にシャッターチャージも行われ、距離計は内蔵されていませんがファインダーは背面中央の上部に設けられておりクリアでとても見やすいものです。シャッターレリーズ、ピントレバー類の配置も適切なポジションで、フィルムカウンターや距離指標窓も小さめですが分かりやすいレイアウトとなっています。


 背面ど真ん中に『GERMANY』の型押しが入っています。


 レンズはシュタインハイル・ミュンヘン製カッサー35mmF3.5、最小絞りがF16で、シャッター速度はB、1/25、1/75、1/200というシンプルな機構の【Wirgin STEREO】です。

2014年10月10日金曜日

Stereo Realist

 前回のコダック・ステレオ・カメラに引き続き、今回もステレオカメラです。


 リアリスト判(23mm×24mm)のルーツであるアメリカ・デビッドホワイト社製の【Stereo Realist】ステレオ・リアリストです。
 コダック・ステレオカメラは色や細部のデザインがアメリカらしい1950年代のテイストが感じられるものでしたが、こちらのステレオ・リアリストはやや色気に欠け無骨な印象です。梨地仕上げのクローム部分に黒のグッタペルカという、アメリカ製というよりもドイツ的質実剛健さを感じるデザインで、重さも820g以上ある重量級です。
 古典的な仕上げの外装ですが、跳ね上げ式のレンズカバーに刻まれた”STEREO Realist”のロゴは『2枚の写真(2つのレンズ)から立体写真をイメージさせる』とてもスタイリッシュで洗練されたデザインだと思います。

 
レンズは35mmF3.5”DAVID WHITE ANASTIGMAT”アナスチグマット、美しいコーティングが施されています。


 トップの各操作部もシンプルな構成です。シャッターボタン右下に見える赤丸は、巻き上げてコマ送りすると白となりますがシャッターを切ると赤になることで、二重露光防止用のインジケーターとなっています。シャッターのチャージは巻き上げコマ送りとは連動していないため、カメラ正面下部にあるレバーを毎回操作することとなります。


 背面の下部にファインダー窓が2つあります。右側が距離計で上下像を合致させるタイプです。


 フォーカス用ダイアルは右側面にあるのですが、(1枚目写真で分かるように)距離計の対物レンズが前面の下部左右端に設けられているため、注意しないとすぐ指で隠してしまます。
 フレーミング~ピント調整~露出決定~絞り設定~シャッター速度設定~フィルム巻き上げ~シャッターチャージ~シャッターレリーズというマニュアル撮影の流れを一つ一つじっくりと味わいながら立体写真を楽しむのにはうってつけのカメラが【Stereo Realist】と言えそうです。

2014年10月9日木曜日

Kodak STEREO Camera

 今まで全く興味が無かったり特に関心も持っていなかったのに、ふとあるタイミングから急に気になりだして妙に意識してしまう事があります。自ら意図的に探し当てたわけでもないのに、自分の持っているゾーンに向こうの方から自然と入り込んできた様な感覚、そんな感覚でやってきたのが今回の一品・・・アメリカ・コダック製の【Kodak STEREO Camera】ステレオカメラです。


 チョコレートブラウンのカラーや正面のロゴがいかにも1950年代のアメリカンテイストを漂わせていて、半世紀以上経過した今でもデザインが”生きて”います。距離計が無いため高さが抑えられていることで横長のワイドボディがステレオカメラらしさを強調しています。また中央に設けられたファインダーレンズ下部には水準器が置かれ、この緑色も正面から見た際のデザインのアクセントとして効いています。
 このステレオカメラ、実際に手に取るまではチープでトイカメラ風な構造なのかと想像していたのですが、重さは700g以上あってとても重量感に溢れた造りとなっています。ステレオカメラの同時2コマ撮影というフォーマットを考えると、フィルムの平坦性やレンズ取り付け精度のためにしっかりとしたシャーシーが必要であるという点と、左右レンズのフォーカス、絞り、シャッター機構を連動させる事を考えると重くなって当然なのかもしれません。


トップカバーとボトムカバーのピンストライプも外観デザインを引き締めるポイントとなっていてアンティークな雰囲気を醸し出しています。
 

 レンズはアナストン35mmF3.5、距離計はなく目測測距で最短撮影距離は1.2m、シャッター速度はB、1/25、1/50、1/100、1/200、絞りはF3.5~F22というスペックです。巻き上げノブを回しコマ送りと同時にシャッターチャージされるので、撮影手順はシンプルで使いやすいと言えそうです。135フィルムを使用し、23mm×24mmのリアリスト判フォーマットですので現代でも十分に実用可能な【Kodak STEREO Camera】です。