2013年4月25日木曜日

SOM BERTHIOT LYTAR 25mmF1.8 (C)~その2

 前回に引き続きサン・ベルティオですが、ここに2本の【SOM BERTHIOT LYTAR 25mmF1.8】があります・・・


 パッと見は同じレンズに見えます。最初は同じモノだと思っていたのですが、手にとって眺めているとなにやら少し違うんです。よく見比べてみると・・・


 ・・・この様に外観の相違点があります。①フィルター枠の有無、②黒いラインの有無、③メッキの質感・・・。フィルター枠があるので左のレンズの方が2~3mm長くなっています。両方を手にとってみるとはっきりと重量の差を感じます。早速、重さを量ってみると左が”126g”で右が”113g”という結果でした。フィルター枠の有無が重量の差なんだなと一瞬納得しかけましたが・・・一応フィルター枠を外して再計測したところ・・・”125g”もあります・・・フィルター枠は1g程度しかありません。レンズ構成やヘリコイドや絞りの機構系が同じだとすると、金属部分の材質が違うという事でしょうか。マウント側メッキの質感が見た目にはっきりと違う点からしても、使用されている合金が異なりレンズの重さに差が出ているのかもしれません。


 こちらのレンズもいかにもベルティオらしい深い味わいの描写をしてくれます。


2013年4月17日水曜日

SOM BERTHIOT LYTAR 25mmF1.9 (C)


 フランス製Cマウントレンズの【SOM BERTHIOT LYTAR 25mmF1.8】サンベルティオです。シンプルなデザインの外観ですが、鏡胴マウント側はニッケル風のメッキでとても味わいある質感を感じさせてくれる一本です。似たようなスペックの【Bell&Howell TAYLOR-HOBSON 1inchF1.9】よりも一回り大きく、手にしたときの重量感やヘリコイド&絞りリングの操作感からも精巧な作りがうかがえます。リングと鏡胴の間に隙間がほとんど無くピッタリと摺り合わされているのを見ながらリングを動かしているだけでうれしくなってくる・・・見て触って楽しめるレンズです。


 とても素直にシャープに描写されていると感じます。この一本はレンズに傷や曇りの少ないとてもクリアな光学系だというのもあるかと思いますが、コントラストの効いたすっきり自然な印象です。Cマウントシネレンズらしくイメージサークルは小さくマイクロフォーサーズでは四隅がケラレてしまうのが残念ですが、スクエアフォーマットでも飽きることなく撮れそうな期待を抱かせてくれます。


 ちなみにマイクロフォーサーズ(4:3)フォーマットではこの程度となります。


 色再現も"MADE IN U.S.A.レンズ"的な派手さはありませんが、落ち着いた自然な感じで好感が持てます。


 絞りリングとピントリングと間に刻印された赤の深度目盛りがアクセントになって格好良い外観です。フィルター枠フード部、鏡胴、リング、マウント部・・・各部材がとてもガッチリとした造りですので、チープな印象が無い上質な触り心地です。絞り、ピント共にやや重めのトルク感ですがこのレンズの質感とよく合っているという感じです。


 絞り開放F1.8です・・・サンベルティオらしい(?)フランスっぽい写りとでもいうのでしょうか、落ち着いた柔らかな表現ですね。開放ではこの様にコントラストの低下は見られますが、ハイライト部の滲みも抑えられ、周辺部の流れも自然な調子ですので開放でも普通に使えるという印象です。 


 適度なコントラストでシャドー部がつぶれずにデータとしてしっかりと残るので”モノクロ”でもよい一本かと思います。

2013年4月15日月曜日

KERN SWITAR 25mmF1.4 AR (C)


 スイスのシネ用Cマウント、ケルン スイター【KERN SWITAR 25mmF1.4 AR】です。同じスイターの16mmレンズ【KERN SWITAR 16mmF1.8 RX】は以前に紹介しましたが、今回は25mmの開放F値1.4でARタイプという一本です。鏡胴部が黒ペイントで、直線の細かいローレットが刻まれたリングは中央にピントリング、先端側に絞りリングという配置になっており、これら基本的なデザインは【16mmF1.8】と同じ構成です。少し異なる箇所として被写界深度を示すオレンジ色のマーカー(ビジフォーカス)が今回の【25mmF1.4】には設けられていません。ケルンの特徴的な機構とも言えるこのオレンジ色が見られないのはちょっと残念なところですが、その代わりに絞りリングを操作すると”白いライン”で深度を表す形式になっています。


 経年で多少汚れも見られる状態ですが、この白いラインの深度表示もシンプルでわかりやすい方式かと思います。


 ケルンのシネレンズらしくこの【25mmF1.4】も中央部のシャープさは素晴らしいですね。絞り開放からキレのある描写が得られるというのは特筆すべき性能と言えるかもしれません。マイクロフォーサーズ(4:3)でこれだけ周辺がケラレますが、ボケ味も柔らかく雰囲気のある画作りが期待できる一本です。


 Panasonicのミラーレス一眼LUMIX GX1に装着した画像です・・・コンパクトな黒鏡胴のレンズが違和感なくボディと調和しています。レンズ単体でも十分格好いいデザインだと思いますが、ボディに付けることで機能的な美しさが更に際だってくる・・・そんな雰囲気のあるオールドレンズだと思います。
 レンズを紹介する上で”外観”や”写り”に関しては写真を載せることである程度は伝えられると思うのですが、リングの操作感やトルク感を文章で伝えるのはなかなか難しいですね。自分では適度だと思っても人によっては重く感じる方もいる・・・そんな個々の感覚の違いを埋めることはほぼ不可能なのですが、このレンズの操作感を表現すると・・・ピント、絞り共に『しっとり系』と言える上質なものです。
 シネレンズはサイズも小さい事からどうしてもリングの感触がイマイチと感じてしまうモノも多いのですが、ケルンはそんな中でも上質さを感じられる造りだと思います。 感触の善し悪しは・・・”ガタの有無”、”可動範囲全域での均一性”、”こすれ音等の有無”、”ストップ位置でのあたり”、等の要素で決定する訳ですが、このケルンスイターはこれら要素がバランスよく実現しているのだと思われます。ただし操作感を判断するためにはグリスのメンテナンスがしっかりとされていることが前提ですので、一概にレンズの特徴と決めつけてしまうわけにもいかないですね。この点は写りに関しても同様で同じ種類のレンズでも個体差によって違いが生まれてくる・・・こんなところもオールドレンズを楽しむポイントになるかもしれません。




2013年4月10日水曜日

ペンタックス製CCTVレンズ


 GE(ゼネラルエレクトリック)ブランドのCマウントレンズ【GENERAL ELECTRIC TELEVISION LENS 25mmF1.4】です。GEブランドですが”MADE IN JAPAN”の刻印があり、海外でCosmicar(コズミカ)ブランドで展開しているペンタックス製レンズと思われます。


 外観綺麗です・・・CCTV用レンズです・・・はっきりした製造年は不明です・・・どう見ても本レンズは『オールドレンズ』の範疇には入らない1本だと思います・・・が、ちょっとだけ写りをご紹介・・・


 イメージサークルが小さくマイクロフォーサーズ(4:3)では四隅がケラレますが、高発色で高コントラストの写りはCマウントレンズならではの特徴が現れているかと思います。収差の残る写りをストレートに楽しんでもいいと思いますが・・・


 ホワイトバランスを大きく振ってちょっと変わった色味の描写を楽しむ・・・なんていう遊びを試してみたくなるレンズかなと思いました・・・。

2013年4月8日月曜日

KERN YVER 16mmF2.8 (C)

 スイス製16mmシネレンズ~ケルン イバー【KERN YVAR 16mmF2.8 AR】で桜を・・・


 高コントラストで周辺が盛大に流れている画はパッと見”トイカメラ”の様な写りにも見えますが、中央部の精細でシャープな描写は素晴らしいですね。 


 こちらはチューリップ・・・画質モードはスタンダードなのですが発色の良さも特徴のレンズです。


 シネレンズだからと言うわけでもありませんがムービーで使うのも面白いかもしれません・・・周縁部のケラレがしっかりと入ってしまいますが、小さい穴から覗いて見ているような感覚でちょっと変わった雰囲気の動画が作れそうな気がします・・・

2013年4月3日水曜日

KERN SWITAR 16mm H16 RX (C)

 スイス製16mmシネレンズ、ケルン スイター【KERN SWITAR 16mm H16 RX】の試し撮りサンプルです。


 窓際に置いたスツールの上に寝そべるワンコの1カット・・・右側に窓があり、レースカーテン越しに差し込むフラットな自然光の元で撮影した一枚ですが、背景のダークブラウンのソファカバーはほとんど黒く潰れてしまっています。周辺部のケラレと合わさってメインの被写体だけがしっかりと浮き上がってくるような効果となりました。これも中央部がしっかりとシャープな像を結んでいるからだと思うのですが・・・


 ・・・周辺部のケラレと流れ具合からすると、この中央部はかなり細密な描写がされているという印象です。中央と周辺の写りのギャップから生まれる面白い効果を楽しむのがこのレンズのポイントかもしれません。


 マイクロフォーサーズの縦横比(4:3)でイメージサークルの小ささがはっきりと分かります。シャープな写りは中心部に限定されるので構図の決め方が制限されてしまいがちちかと思いますが、自由な発想で楽しみたいレンズです。