2015年2月15日日曜日

キャノン CANON FL 55mm F1.2


 前回の富岡光学製オートチノンに続いて今回も同じ55mmの開放F1.2繋がりということで・・・1968年に発売となっているキャノン製【CANON FL 55mm F1.2】のご紹介です。最前面に施されたアンバー系のコーティングがいかにも60年代のレンズという雰囲気を漂わせており、ガラスと金属の質量をしっかりと手の中に感じることが出来る1本です。SONY α7 II に装着すると総重量は1kgを超えますのでなかなかの重量感となる組み合わせです。


 外観のデザインは当時のキャノン製レンズらしく非常にシンプルで、機能的な構成となっています。派手さには欠けたデザインなのですがピントリングの操作感は秀逸で、大口径レンズならではの開放時における浅いピントを追い込む時にも使い勝手の良さを感じる造りです。


 後玉側にはパープル系のコーティングも施されています。


 開放時の大きく柔らかなボケと自然なコントラストはモノクロで生きてきます。


 近接側でも中間距離でも開放時のピント面はしっかりと描写されており、周辺部の光量低下がありますが決して悪い印象にはなっていないと思います。


 数段絞り込むことで周辺部の光量も均一となり画面全域でシャープさが際立ってきます。F8(右)ではフェンダーやボンネットの塗装面の細かな波打ちまで細密に描写され、質感をリアルに再現しています。大口径らしい開放時のボケを味わうのが本レンズ使用の王道かと思いますが、絞り込んでの鮮鋭度を見ても分かるように万能性を持った1本だと言えそうです。


 開放時ハイライトの周辺部にはハロも見られますが甘さを感じる描写にはなっていないのも特徴的です。


 金属やガラスで構成された工業製品という点で『オールドレンズ』との共通性も感じる『クラシックカー』は本レンズととても相性のよい被写体と言えるかもしれませんね。