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2016年2月4日木曜日

Carl Zeiss Jena Sonnar 5cm F2 (L) = JUPITER-8 ?

 カメラの世界にはコピーモデルと言われるものが数多く存在します。例えば1940~50年代にはバルナック型ライカを模したカメラが各国で数多く作られ、日本でもニッカ、レオタックス、タナック等々本物そっくりの『コピーライカ』がいくつも存在し、輸出用もしくは低価格の入門用としてある一定の役割を果たしていたと思われます。またカメラ本体だけではなくレンズについても同様で、例えば沈胴エルマー50mmF3.5のコピーレンズなんて一体どれ程の種類存在するのか?これをコレクションのテーマとしてみても十分な手応えを感じられるものになる可能性があり、『コピーもの』というのは旧いカメラ&レンズにおいて非常に面白いジャンルと言えるかもしれません。

 このように本家本元を模したものを自身のブランドや製品名で発売していた『コピー品』に対して、もうひとつ注目したいのが、中身は本家本元のコピーであるのに加え、ついでに銘板まで本物をそのまま刻印してしまった『フェイク品』のケースです。ここまでいくと本家に対するリスペクト等は消え失せてしまい、オリジナルの人気が高いことに乗じて生まれてきた贋作という位置づけになります。偽物を流通させて当時商売としてどれ程の利益が出たのか知る由もありませんが、ちょっと怪しげな経緯は色々な妄想をかき立てるという点でも興味深いものがあります。そこで今回は・・・フェイク品が多く存在するといわれているゾナー【Carl Zeiss Jena Sonnar 5cm F2(L)】を取り上げてみたいと思います。


 『フェイクゾナー50mmF2』の元レンズとなっているのは『コピーゾナー』であるロシア製ジュピター8ということですので、以前『GLIONミュージアム』のクラシックカーを撮影したライカLマウントの個体【KMZ JUPITER-8 5cm F2 (L)】と並べて比較してみたいと思います。



 外観を見ると鏡胴の長さが若干異なりますが、リングのローレットや、距離目盛り、絞り値の指標が似ていて、距離単位メートルの"M"も大文字になっています。またジュピター8はアルミ合金の鏡胴で軽量に仕上がっていて実測すると124g、一方のゾナーも後玉側マウント周りを見ても分かるようにほぼ同じ造りで重量も全く同じ値の124gでした。またヘリコイドのトルク感もややチープな感触で、指に感じるローレット加工や絞りリングのガタも触り馴れたロシアンレンズのそれに限りなく近いものです。


 WEB上での情報によると、銘板の文字や鏡胴の数字、赤▲マークの大きさ等もフェイク品の判断要素になるようで、この個体を見ても文字書体とピッチがツァイスらしい繊細な感じではありません。(この個体同士の比較ではピントノブの有無に違いがありますが、ジュピター8もノブ付きのタイプが存在します。)次にコーティングの様子を見てみると、


 ジュピター8はブルー系モノコートであるのに対し、ゾナーはアンバー系パープル系も施されていて時代的に新しい雰囲気が漂っています。(ジュピター自体が年代の異なる個体を見ても分かるように、様々なコーティングタイプが存在しています。)

 以上、いくつかの要素を見てきましたが、どうやらこの個体はJUPITER-8の本体から銘板だけを”Carl Zeiss Jena Sonnar”に付け替えた『改造フェイクゾナー』である可能性が高いと言えそうです。いずれにしてもこの様な品が存在したという事自体が、ある意味旧き佳き時代の象徴でもあり、偽物だからと無視するのはちょっと勿体ないので、将来へ残していくべきレンズ遺産の一つに加えてもいいのではないでしょうか。


 ジュピター8の描写に関しては以前のクラシックカー撮影で好印象を得ているので、このコーティング違いのフェイクゾナーでも期待度は高くなります・・・


 F5.6辺りに絞るとシャープさが画面全域で得られ階調も自然に再現されることからスッキリとした描写になります。


 遠景の描写も細部までクリアで解像感も十分高いレベルに感じます。


 近接側、細部も繊細な描写が味わえます。


 このような逆光条件でもコーティングの効果なのかコントラストも保ったまましっかりとトーンが再現されている点が好印象です。

 今回、『フェイク品』というオールドレンズの楽しみ方の幅広さを感じたわけですが、最後にふと気になったのは「銘板に刻まれたシリアルナンバーは連番になっていたのだろうか?」という点です。きっと『フェイクゾナー』もある程度の本数が同時に量産されたのではと推測されますが、銘板のシリアルナンバーを個々に変えるということまでしていたのか?それとも同じ番号の銘板を沢山作ってシリアルナンバーまで同じクローンが多く存在するのか?・・・なんだか妙に気になります。

2015年5月2日土曜日

Carl Zeiss Jena Turret Finder 436/70


 ライカIIIfのアクセサリーシューに載っているのは、1938年~カール・ツァイス・イエナ製のターレット・ファインダー【436/70】です。「ライカにはライツ純正アクセサリーを合わせなければならない」という正統派ライカ道の方からするとちょっと邪道な組み合わせかもしれません。確かに前面のエッジの効いたクローム部分等を見ると直線的なCONTAXに合いそうなデザインとなっており、ライカには以前に紹介した【VIOOH】の方がお似合いなのは当然です・・・。残念ながら手元にCONTAXが無いという事情もあってこのIIIfに装着してみたわけですが、どうでしょうか・・・コンパクトなバルナック型ライカも一気に迫力が増し自己主張が強く前面に出て、外付けファインダーとしての機能性だけでなく、撮影時の気分までも高めてくれるという特殊な性質を持ったアクセサリーに思えてきます。


 焦点距離は28mm、35mm、50mm、85mm、135mmの5種類に対応しており、


前面のクローム部分に細かくローレットが刻まれたリングを回転させると、各焦点距離毎にクリックポイントが設けられており、∞位置で停止します。


 パララックスはクリックポイントのある∞位置から更にリングを僅かに回転させ微調整することで補正します。目安として撮影距離1m(28、35、50mm)の指標が刻まれています。(※85mmは撮影距離2mと1mに、135mmは撮影距離3mと1.5mの指標。)

 
 実際のファインダー像は縦横中心に十字のラインが引かれているだけのシンプルな構成で、見え具合もとてもすっきりとクリアなのが印象的です。
 
 
 視野枠が可変する【VIOOH】よりも【436/70】はターレット式ですのでかなり見やすく、実用的にも十分使える外付けファインダーだと言えそうです。またカメラに装着しなくてもファインダー単体で持ち歩き、撮影前に被写体の構図や画角の確認用という使い方としても生かすことが出来るかもしれません。

2014年4月24日木曜日

ROBOT用レンズとフルサイズ


 ROBOT用レンズの【Carl Zeiss Jena Tessar 3cmF2.8】イエナ製テッサー30mmです。ハーフ判のオリンパスPEN-F用レンズをフルサイズで試したのに続いて、今回はROBOTカメラ用レンズとフルサイズの組み合わせです。『ROBOT』はスプリングを使った連続撮影可能なカメラとして1930年代に開発されたとてもユニークなカメラです。ゼンマイ機構による機械式ワインダーを本体に内蔵しているという、メカ好きにとってはそれだけで興味をそそられるカメラなのですが、レンズ自体もかなりの存在感を漂わせています。
 まず目に付くのはレンズ正面に刻まれた『ROBOT』のロゴです。連続撮影可能という特殊な機能から軍用にも供給されていたという背景からすると、このポップな印象のロゴに少しギャップを感じてしまいます。また被写界深度を示す指標が[赤・黄・緑]と3色のカラーで印されているのもポイントで、合理的だけれどちょっとしたおしゃれの様でもあり、パッと見の外観デザインを見ただけで惹かれてしまう、そんな類のオールドレンズと言えるかもしれません。
 この様に見た目だけからするとライトな感覚のレンズのように思えてくるテッサー30mmですが、実際に手に取ってみるとコンパクトで薄いパンケーキレンズの割に重量は約90gあり、かなり剛性感の高い造りとなっています。距離目盛り毎にクリックストップが設けられたピントリングと、レンズ正面に鋭角なローレット加工が施された絞りリングは共にガタの少ない良質な操作感ですので、実際に撮影する前から期待感も高まります。
 (24mm×24mm)スクエアフォーマットのROBOT判レンズとフルサイズの組み合わせはどんな相性なのか、以下試し撮り結果です・・・。


 ビビッドな発色とフォーカス部のシャープさに対し、画面上部左右にかなり流れが見られます。イメージサークルが小さめのCマウントシネレンズをマイクロフォーサーズと組み合わせた時の様な印象です。シャープな描写を見せてくれる中央部と周辺部の格差が激しく、四隅にかけて急激に像が流れ出しているように見られます。


 ロボット判(24mm×24mm)は概ね赤枠で示したエリアですのでしっかりとイメージエリアはカバー出来ていることが分かります。ちなみにAPS-Cでは白枠で示したエリアとなるのでROBOTレンズの中央部美味しいところだけを味わうにはAPS-Cサイズのミラーレス一眼はベストマッチと言えるかもしれません。


 フルサイズでは周辺にしっかりと光量不足が現れてきますが被写体によってはこれも一つの効果として十分楽しめると思います。

2014年2月28日金曜日

Carl Zeiss Jena Flektogon 25mmF4 (M42)


 ゼブラ柄でフィルター径77mmの広角レンズ・・・【Carl Zeiss Jena Flektogon 25mmF4(M42)】 フレクトゴンの25mmです。何と言っても巨大な前玉が特徴的で、絞りリング~マウント部が細身に絞られていることでその大きさが更に強調されるデザインとなっています。20mm版の初期モデルもフィルター枠やピントリングの高さに違いはありますが、ほぼ同じ基本デザインの外観を纏っています。オールドレンズ全般に特徴的でユニークなデザインのものが数多く存在し、その見た目の個性が古いレンズに惹かれる一つの要因でもあるのですが、このフレクトゴン25mm(20mm)はそんな中でも特に存在感の際立った一本だと言えそうです。


開放でも十分なコントラストとシャープさを実感出来ています。また以前に紹介した35mmF2.8フレクトゴン同様に近接側にグッと寄れるのも大きな特徴で・・・


・・・最短20cm弱まで寄るとここまでのアップが狙えます。体重2kg程度の小型チワワでこれだけのクローズアップ感が得られますので、中型~大型犬では更に迫力ある画が撮れそうです。ただワンコに寄って撮影する場合にはレンズを舐められたりしないようにちょっと気をつけねばなりませんが・・・。

2014年2月24日月曜日

Carl Zeiss Jena Flektogon 35mm F2.4 (M42)


 ”オールドレンズ”と呼ぶにはちょっと若すぎるでしょうか・・・現代的なデザインを纏った 【Carl Zeiss Jena Flektogon 35mmF2.4(M42)】 後期型フレクトゴン35mmF2.4です。【SONY α7】 との組み合わせもまるで純正のキットレンズかのようにフィットしています。これだけ見た目のバランスが良いと操作面も当然のこと違和感なく扱うことが出来ますので、撮影も自ずとサクサクこなしてしまう快適コンビとなります。また外観や操作面だけでなくマルチコーティングが施されているという点もこのレンズの大きな特徴で、写りに関しても現代的なキレを期待してしまいます。


 画面中央部に置いて前ボケとした遊具の黄色い取っ手などは・・・若干陰になって明るさ不足のせいもあるかもしれませんが、ややくすんだ発色でイメージよりも渋めの描写になってしまいました。


 画面右下の床タイルのハイライト部分が一部白飛びしてしまいました。こんな所がもう少し粘ってトーンが出てくれたらとも思いますが、コントラストは良好でピント部分も十分にシャープな描写が得られています。


 近接側に寄れるのも特徴の一つです。これでも最短距離(20cm)にはまだまだ余裕がありますので、この椿の花が画面一杯となるくらいまでは十分に寄れてしまいます。

2014年2月23日日曜日

Carl Zeiss Jena Biotar 58mm F2 (M42)


 前々回~前回にかけて 【Industar-50】 【MIR-1B】 と黒鏡胴レンズの紹介が続いていましたので、今回は白鏡胴の 【Carl Zeiss Jena Biotar 58mmF2(M42)】 ビオター58mmです。黒ボディに白レンズという組み合わせはとても好きなコンビなのですが、M42-NEXマウントアダプターの厚みが結構あるせいか、又はアルミ地の質感のせいなのでしょうか、ちょっとアンバランスな印象を抱いてしまいます。そこで、ボディをもっとシンプルな 【LUMIX GX1】 に変えてみたところ・・・


 どうでしょうか・・・同じ黒ボディですがレンズの存在感がより際立って個人的にはこちらの方が見た目の相性は良いように感じます。
 現代のAFレンズは外観のデザインに大きな差が無く性能や機能面だけに注目してしまいがちですが、金属製MFレンズの場合は外観のデザインや仕上げ具合に加え手に触れたときの質感や操作感など色々な要素が絡まって”写り”以外でも楽しめてしまう・・・オールドレンズの大きな魅力ですね。ボディとの相性はさておきビオターの写り具合はというと・・・


 開放から一段ほど絞ったサンプルですが・・・キレの良さやシャープさを追求するよりも柔らかさを生かす描写に向いているように感じます。


 絞り開放からピント面はそこそこシャープなのですが、前後はとても甘いというか、被写界深度が単純に浅いというだけではない柔らかさ感じさせてくれる描写です。

2013年10月29日火曜日

Carl Zeiss Jena Pancolor 50mmF1.8 & Tessar 50mm F2.8 (M42)


 カールツァイスイエナ製M42マウント、ゼブラ柄の50mmレンズ2本です。左が『Carl Zeiss』銘の入っていない『aus JENA DDR』表記となっている時代の 【Pancolar 50mmF1.8】、右が【Tessar 50mmF2.8】です。ピント、絞りの両リングが白黒ゼブラ柄で、距離指標がメートル(白文字)とフィート(橙文字)が並記されている基本デザインはほぼ同じこの2本ですが、開放F値はパンカラーが1.8、テッサーが2.8とパンカラーが一段分明るく、レンズ径はテッサーの前玉が約20mmであるのに対してパンカラーは約26mmと一回り大きくなっていす。2本並べてみるとコーティングカラーの違いもはっきりと分かります。


 キレの良さを感じるパンカラーです。


 2本共レンズの状態は比較的良好なのですが、テッサーはハイライト部のフレアっぽさが感じられます。

2013年3月29日金曜日

Carl Zeiss Jena Flektogon 35mmF2.8 (M42) 近接

 近接側最短18cmまで寄れてしまう・・・【Carl Zeiss Jena Flektogon 35mmF2.8(M42)】の試し撮りサンプルをいくつか・・・
 




2013年3月25日月曜日

Carl Zeiss Jena Tessar 50mmF2.8 (M42)


 「テッサー50mm」・・・カール・ツァイス・イエナ製【Carl Zeiss Jena Tessar 50mmF2.8(M42)】です。同じテッサー50mmF2.8には”ゼブラ柄”のものや”アルミ白鏡胴”のものなど色々なデザインがありますが、この一本はピントリングに小さな突起が並んでいるタイプで、造りや操作感という点はややチープな印象です。


 ヘリコイドのトルク感自体は適度なのですが、ピントリング操作部が樹脂製で指にフィットし難く、特にこの時期乾燥しているカサカサの指先では滑り気味になってしまいます。絞りリングも動き自体はスムーズで全く問題無いのですが、僅かなガタつきを感じてしまうクリック感です。


 薄曇りの中、咲き始めのエドヒガン桜です。二線ぼけ傾向ははっきり現れています。 


 二段ほど絞るとシャープさが際立ってきます。

2013年2月15日金曜日

Carl Zeiss Jena Flektogon 35mmF2.8 (M42)


 今回はカール・ツァイス・イエナのフレクトゴン【Flektogon 35mmF2.8(M42)】です。ピントリングと絞りリングが縞々になった所謂ゼブラ模様と言われるこのデザインが目を引く外観で、M42レンズの中でも定番の一本と言えるかも知れません。この【LUMIX GX1】に装着した写真を見ても分かるようにブラックボディととても良く似合います。レンズとしての造りや仕上げ、質感という点は高級感を感じさせるほどではありませんが、実用するにはとても使い勝手の良い一本だと思われます。その特徴の一つとして挙げられるのが近接性能で、なんと最短18cmまで寄れてしまいます。例えば・・・


 こんな感じでの『物撮り』も楽にこなせますし・・・


 最短18cmまで寄るとここまでのクローズアップも・・・


 ちょっと引いて柔らかい印象のポートレートに仕上げることも可能なこのフレクトゴン・・・デジタル時代、ミラーレス一眼に付けても万能選手の一本になるのではないでしょうか。