2015年7月18日土曜日

Leicavit (SYOOM) ライカビット


 ライカIIIcの底蓋から飛び出した切っ先鋭いレバー・・・その形状からして何かの凶器のように見えてくる独特な雰囲気を放っているアクセサリー・・・【Leicavit】ライカビットです。
 素早い連写をしたい時にまどろっこさを感じてしまうノブ式のフィルム巻き上げを少しでも素早く行えるようにと、トリガーレバーのスライドアクションによって巻き上げが可能となる機構を底蓋部に組み込んだもので、通常の底蓋と交換して装着されます。


 左手の中指と薬指をトリガーレバーに添えてギュッと絞るようにスライドさせると、巻き上げ駆動軸の回転運動へと変換され・・・、


・・・本体側巻き上げ軸の先端に切られた溝とライカビット側の駆動軸ピンが噛み合って、カメラ内部から巻き上げノブを回転させている構造となっています。機構のシステム自体は水平運動を回転運動に変換するという非常にシンプルなものですが、操作をするときに指先に伝わってくる感触はカメラとしての一体感が感じられ、チェーンとバネで構成された精緻な機構によって絶妙な操作感を生み出しているのはライカならではと感じます。


 トリガーレバーの可動部分が綺麗に切り抜かれた専用の革ケースも用意されているのですが、いざ撮影しようと上部カバーを開けても背面下部が縫い付けられているため、体の前でブラブラと邪魔になってしまい撮影に集中できません。せっかく専用の革ケースなのですが保管用と割り切るか、又は縫い付けられている部分を思いきって切り取ってしまうのもありかもしれません。革ケース自体はとてもしっかりとした造りですのでちょっともったいない気もしますが・・・。
 ライカビットを使ってスムーズで素早い撮影を軽快にこなす・・・被写体に向き合う写真力が心技体全ての面で整っていることが問われてくるアクセサリーのように思われます。ただこのギミックに憧れてフィルム未装填で空打ちするだけでも十分に楽しめてしまうというのも本当です。

2015年7月6日月曜日

SONY α7R II (ILCE-7RM2)


 昨年末α7IIの発売時にも予想されていたα7Rの手ぶれ補正機能搭載モデルがこの度【α7R II】として国内発売が発表されました。ただしこのα7R IIは実売予想価格が約44万円という点からも分かるように、単にα7Rに手ぶれ補正機能が加わっただけと言うことでは無いようです。
 そこで今回は【α7R II】の機能面から高価格化となった背景を少し見ていこうと思います・・・

 まずはメーカーカタログの先頭に記載されている35mmフルサイズ裏面照射型【Exmor R】CMOSセンサーの搭載がなにより注目のポイントと言えます。


 α7Rはベーシックモデルα7の2400万画素に対し3600万画素+ローパスフィルターレスで実現する高解像力が売りだったわけですが、α7R IIの新型センサーでは更に画素数がアップし4200万画素となっています。

 高画素化となったこのセンサーは単に従来型から画素数をアップさせただけというわけではなく、裏面照射型構造というプロセスを採用したことにより、高画素化によって画素ピッチが狭くなるにも関わらず集光率を向上させ、高感度で広いダイナミックレンジを維持することが出来ているという点がポイントのようです。


 裏面照射型構造についてはメーカーサイトに簡単な説明がなされているのですが、この解説を読んでいて気になったのは「配線層をアルミから銅に変更した」という点です。このことは高画素化によって読み出し速度の周波数が高くなると、配線の電気抵抗が駆動周波数アップにおけるボトルネックになりつつあるという事だと思います。マイクロプロセッサLSIでは既に銅配線が用いられているようですが、今後更に高画素化を追求していく場合、現行プロセスの改良だけでどこまで突き進んでいけるのか?それとも全く新しい概念のデバイスが発明されるのか?興味は尽きません。


 今回の高速読み出し可能な高画素センサー【Exmor R】とそれを処理する高速画像処理エンジン【BIONZ X】により実現出来た機能の一つとして、全画素読み出しでの4K動画記録が上げられています。

 またAFについても像面位相差検出のカバー範囲が広く高密度になったことと合わせ、動体予測アルゴリズムの進歩により、広い範囲から素早くフォーカスポイントを検出ししっかりと追従するという性能アップが謳われています。

 そして高画素化がもたらす影響の一つとしてα7Rの時から言われていた手振れが目立ってしまう点について、α7IIで搭載された光学式5軸手振れ補正機能をより高解像機用に最適化されたものにより最大4.5段分の効果をもたらすとされています。

 更にブレの要因となるメカニカルシャッターのショックを低減した改良版が搭載されており、サイレント撮影機能に対応しているという点も見逃せません。

 ここまで見てきただけでもα7シリーズのフラッグシップ機に仕上げようという開発陣の想いが十分に分かる内容ですが、他にも高精細ファインダーのレンズにツァイスT*コーティングが施されていたり、ボディ全面にマグネシウム合金が採用され防塵防滴性も配慮されている等のポイントもしっかりと抑えられており、正に機能てんこ盛り満艦飾な一台だと言えます。

 実際の使用を考えた場合、バッテリーの持ちが若干気になるところですが、動く被写体を4K動画で撮影しその中の一コマを静止画として切り出す様な、高速連写機能を動画撮影で置き換えるといった使い方に興味が沸いてきます。その他にも暗所撮影での高解像高画質の期待が高まるなど、写欲を大いに刺激される一台であることに間違いはありません。ただ何と言っても40万円台という価格帯ですから、おいそれと手を出せるものでもなく、ましてオールドレンズ遊びには贅沢過ぎて不相応かと思われますし、このボディを使うならレンズの選択も相応のものが求められる訳で・・・実機を触ったわけでも無いのになんだかお腹が一杯になってきました(笑)
 インプレッションはこの後WEBや雑誌でどんどん出てくるはずですのでそれを楽しみに待ちたいと思います。

2015年7月2日木曜日

Kodak Cine Ektanon Lens 15mm F2.7 (C)


 コダックの16mmシネカメラ用レンズは以前に【Kodak Cine Ektar II 25mm F1.9(C)】を紹介しましたが、今回は【Kodak Cine Ektanon 15mm F2.7(C)】シネ・エクタノンです。


 かなり奥目の小さなレンズでレンズ前面の黒いフード部分が絞りリングとなっています。内側には反射防止用に細かい溝切り加工が施されているのですが艶があるのでその効果はやや薄いように見受けられます。


 ねじ込み式のしっかりとした造りのS-C変換アダプターが付属しており・・・、


 Cマウントシネレンズとしてミラーレス一眼等での使用が可能となります。


 16mmシネレンズも広角系になるとイメージサークルが小さくなり、マイクロフォーサーズでもこの様に周囲は丸くケラレてしまいます。1600万画素のPanasonic LUMIX GX1での場合、中央部分のケラレない部分(上記赤枠部)を切り出すと約630万画素程度となり、画角的には35mm判換算で標準レンズ相当といったイメージでしょうか。


 それなりにシャープで発色も良いのですが、細部を見ていくと【Kodak Cine Ektar II 25mm F1.9(C)】の解像感に比べやや劣るかなといった印象です。


 屋外で外光が入り込むとこの様にイメージサークルの円周部が白っぽくなります。ハレ切りだけでは改善しきらなかったので、フード内側に黒植毛紙などで処理すると多少は改善出来そうな気もします。


 中央部をトリミングして切り出すか、ケラレをそのまま生かしたスチル写真とするか、又は円形のケラレを効果的に狙ってムービーで使ってみるなどというのが面白いかも知れません。