2013年12月28日土曜日

チヨコー スーパーロッコール 45mmF2.8 (L)


 以前にもご紹介した事がある 【Chiyoko SUPER ROKKOR 45mmF2.8(L)】 千代田光学精工(ミノルタ)のライカLマウントレンズ、スーパーロッコール45mm(通称『梅鉢レンズ』)です。以前紹介の『梅鉢』はピントリングにレバーが付いている後期型と言われるタイプだったのですが、今回のレンズはピントレバーの付いていない前期型になります。この前期型は銘板部分に丸い穴が開けられており、ここに絞り値が表示されるという造りとなっているのも特徴です。前後期共に基本構造は同じで小さいレンズなのですが、剛性感が高く重量感のあるとてもしっかりとした造りであるのが、本家ライツのレンズにも負けていないポイントと言えそうです。


 絞り開放でのサンプルですが・・・前回のコムラーや、前々回のズイコーと同様に周辺の光量低下がこのスーパーロッコールにも見られます。フルサイズの 【α7】 を使用することで目立ってきたレンズの周辺減光(特に日本製Lマウントレンズ)については後日改めて試し撮り比較などをしてみたいと考えています。
 中央部のシャープさや色のりは悪くなく、コントラストも効いた画になっています。開放での周辺部は距離によって放射状や同心円状に流れが出ていて面白い効果となっています。


 こちらは2段ほど絞ってF5.6での写りです。少し絞ると周辺部もちょっと落ち着いてくるようです。


 スタンダードモードのJPEG画像リサイズのみの撮って出しですが・・・かなり彩度が高く派手な発色傾向があるように感じます。

2013年12月26日木曜日

Wコムラー 35mmF2.8 (L)


 三協光機のライカLマウントレンズ 【W-KOMURA- 35mmF2.8(L)】 Wコムラー35mmです。Wコムラー35mmにはピントリングとフィルター枠が段付きとなっているF3.5のモデルもありますが、こちらはF2.8バージョンです。外観は寸胴形状となりF3.5モデルよりもシンプルに見えますが、先端のフィルター枠と被写界深度目盛りのリング部が光沢クロームメッキ仕上げなので、単なる黒鏡胴レンズとは違う見栄えのするデザインになっています。オレンジカッパー色のマウント部を持った 【α7】 とよく似合うコンビだと思います。
 ヘリコイドの回転角が90度なので、ピントの追い込み操作は素早く行うことが出来ます。先端側に配置された絞りリングは若干細いのでつまみにくく感じることもありますが、カチッカチッと決まるクリックの感触は良好で軽快な撮影が可能なレンズです。


 中央部は十分なシャープネスとコントラストを感じますが、周辺部の荒さは見られます。


 前回紹介した 【ズイコー4cmF2.8(L)】 同様、このレンズも周辺部の光量低下がはっきりと現れています。2段ほど絞ると解消してきますが開放での減光度合いはかなりあり、イメージサークルの小さいシネレンズのように感じる程です。

2013年12月22日日曜日

オリンパス ズイコーC 4cmF2.8 (L)


 オリンパスのライカLマウントレンズ 【Olympus Zuiko C.4cmF2.8(L)】 ズイコーC.40mmです。外観はズマロン35mmにも似た雰囲気ですが、40mmという焦点距離がユニークで珍しいLマウントレンズとなります。専用ファインダーがあるので本来ならセットで保有したくなるものですが、なかなか出回ることはなさそうです。フードについては専用のものがあったのか不明なのですが、先端部の直径が36mmですのでエルマーやズマロン用のフードが使えそうです。


 なんだかとてもレトロな雰囲気の色調になりました。画角のイメージとしては標準50mmレンズと同じような感覚だろうと思っていたのですが、実際に撮影してみると意外とワイドに感じられ体感的には広角系レンズだなという印象です。以前に紹介した個体よりもコントラストが効いた写りですが、周辺がかなり落ちています。もしかしてフードでケラレたのかと思い、室内でフード無しで確認してみたところ・・・


 絞り開放でかなり周辺光量落ちがあるようです。以前の個体ではマイクロフォーサーズでしか試していないので、このレンズ自体の特性なのか個体差なのかは分かりませんが、『世界のライカレンズ』を読み返してみてもそのような記述は見られませんでしたので、他の方の撮影サンプルも検索してみようかと思います。いずれにしてもこの様に周辺部の写り具合もフルサイズだからこそ味わう事が出来る・・・「オールドレンズ+α7」の醍醐味と言えそうです。

2013年12月21日土曜日

JUPITER-8 5cm F2 (L)


 妙に濃い青紫色コーティングが美しい旧ソ連(KMZ)製の 【JUPITER-8 5cmF2(L)】 ジュピター8です。アルミ鏡胴で比較的軽量に出来ているレンズですが、ヘリコイドがとても滑らかで操作性が良く、撮影を重ねているうちに当初抱いていたチープなイメージが消え去っていきました。「色の白いは七難隠す」・・・とまでは言い過ぎですが、オールドレンズでも快適な操作が出来るだけで撮影時の気分が大きく変わってきます。ヘリコイドと絞りの操作系はグリスのメンテナンスをしっかり行っておきたいですね。ただ昔のレンズですので修理店に依頼すると結構な費用がかかってしまうのが悩ましいところですが・・・。


 アンダー目の露出ですので発色良く見えてしまいがちですが、それにしても色のりがしっかりしています。やや絵画調といった感じでのっぺりとした色に見えてしまうのが好みの分かれるところかもしれません。


 コントラストもしっかりしており、周辺部の光量なども均一性が保たれているように感じます。


 照明部分に面白い形でゴーストフレアが出ています。

2013年12月16日月曜日

Leidolf LORDON 50mm F1.9 (L) ~その2

 フルサイズミラーレス一眼 【α7】 に 【Leidolf Lordon 50mmF1.9】 をセットして試し撮りです。このレンズの特徴や写りも気になるところですが、同時にα7の操作性や、フルサイズでの画角についても気にしながら慣れながらの撮影となりました・・・

 絞り開放で前後のボケがどのような雰囲気になるか縦位置構図としてみましたが、背景の木々などを見ても大きなボケといった感じではなく、少しざわざわした印象もあり、柔らかくなだらかなボケ味ではなさそうです。一方、開放でも合焦部はかなりシャープでキレを感じる描写です。わんこの顔部分をピクセル等倍で切り出してみると・・・


 十分な解像感が得られていると思います。PCモニター上でピクセル等倍で鑑賞していると、ついもっともっとと解像度に対する欲求が際限なく高まっていくのですが、2400万画素でも十分かなと感じています。決してローパスフィルターレス3600万画素モデルの 【α7R】 を買えなかった僻みではありません(笑)
 このレンズのヘリコイドはとても軽いので(スカスカという感触ではなくウルトラスムースと言える軽快でしっとりとしたトルク感です)、α7のピーキング機能を使ったマニュアルフォーカスアシストによりピント合わせは素早く全くストレス無く撮影出来るのが好印象です。


 発色はやや渋いかなというのが第一印象ですが、ビビッドな色の被写体をRAWデータで試したり、α7の各モードも使ってみてからという評価になりそうです。
 こちらも合焦部をピクセル等倍で切り出してみると・・・


 コントラストもまずまずシャープさも十分感じられて操作性も良いこのロードン、フルサイズでどんどん使ってみたいレンズです。

2013年12月14日土曜日

Leidolf LORDON 50mm F1.9 (L)

 今回はちょっと珍しいレンズです。
 1920年代に顕微鏡などの精密機械製造会社として設立され、後にカメラも製作することになったドイツの 『Leidolf/ライドルフ』 というメーカーですが、1950年代後半~に製造されていたレンズ交換可能なレンジファインダーカメラ 『Lordomat/ロードマート』 用レンズの 【LEIDOLF LORDON 50mmF1.9】 です。
 ロードマートシリーズの交換レンズは35mm、50mm、90mm、135mmの4種類が用意され、シュタインハイルなど他社から供給されていたとの事ですが、今回の 【LORDON/ロードン】 はドイツ・ミュンヘンのエナ社が製造しライドルフに供給していた物のようです。
 ライドルフがカメラの製造を行っていた期間は戦後の1949年から始まり1962年には撤退したそうなので、カメラ本体に加えレンズ自体もあまり見かけることがないのは製造本数自体がそう多くないからなのかもしれません。
 またライドルフはこのレンズの銘板を見ても分かるようにライカの 『エルンスト・ライツ社』 と同じドイツ・ウェッツラーにあったというのも興味を惹くポイントです。戦後1949年頃のライツはすでにカメラメーカーとしての世界的地位をしっかりと確立していたわけで、バルナック型からM型へと移行していく頃です。そんな時期にライツを横目にカメラ製造を行った当時のライドルフ社の経営者と技術者たちの想いはどんなものだったのか・・・何か面白そうなエピソードが隠れていそうで興味は尽きません。


 このレンズの面白いポイントの一つはレンズマウントです。ロードマートのマウントはレンズ基部に設けられたリングを回して締め付ける方式なのですが、本レンズにはライカLマウント用のアダプターが付いています。

 当時からライカLマウントに付けるために製造販売されていた物なのか?近年になってワンオフで作られた物なのか詳細は不明ですが、アルミ削り出しのアダプターは内面反射防止の塗装も施されており、しっかりとした造りです。いずれにしてもライカLマウントになることで現代でも生かされているこの珍品レンズを早速 【SONY α7】 へ装着してみたところ・・・


 どうでしょう・・・かなり格好良い組み合わせだと思います。クロームメッキにヘアライン処理されたフードが見た目には結構派手なのですが、とても重厚な造りで質感も高いのが嬉しいですね。またα7との重量バランスも良好でとても快適に撮影することが出来ました。
 次回はこの【LEIDOLF LORDON 50mmF1.9】の試し撮り結果です。

2013年12月13日金曜日

フルサイズミラーレス一眼 SONY α7

 これまではマイクロフォーサーズ機 【Panasonic LUMIX GX1】 にて色々な 「オールドレンズ」 の写りを楽しんできました。
 シネカメラ用Cマウントレンズの場合はマイクロフォーサーズ機に装着することで、そのイメージサークルをフルに使って、シネレンズの特徴溢れる独特な世界を楽しむことが出来ましたが、35mm判レンズの場合、本来のレンズ画角を存分に味わう事が出来ず、やや消化不良な気持ちを抱いていたというのが正直なところです。
 この点については”イメージサークル中央部の美味しいところだけを切り出して味わえている”という見方も出来ますが、やはりレンズの特徴を知るには周辺部の写り具合等も含めて”美味しくないところも目一杯食べてみたい・・・” これが 『レンズ沼にはまった者の性』 なのだろうと思います。
 ただそうは言ってもライカ 【LEICA M】 等はさすがに手が届かないしどうしたものかと考えていたのですが、そんな折りに発売されたカメラが・・・ 【SONY α7】 というわけです。ローパスフィルターレス3600万画素の 【α7R】 にするかどうか迷うところですが、主に「オールドレンズ」使用がメインであるのと、やはりコスト面の制約もあって2400万画素の 【α7】 を選択しました。
 
 これから少しづつ 【α7】 でフルサイズの写りを楽しんでいきたいと思いますが、まず付けてみたのは 【沈胴エルマー】 です・・・


まずは見た目のバランスですが・・・ペンタプリズム形状のファインダーブロックがあるせいか、沈胴エルマーのような小さいレンズだとボディに負けている印象です。 そこでフード(FISON)を付けてみると・・・


どうでしょうか・・・見た目のバランスはかなりよくなりました。重量バランス的には小さなレンズでも良好でとても使いやすい印象です。


 [マイクロフォーサーズ + 35mm判レンズ] の組み合わせだと、室内でのポートレート撮影に50mmレンズは最適だったのですが、[フルサイズ + 35mm判レンズ] では、ほぼ最短距離(約1m)での撮影でこの画角ですので、マイクロフォーサーズに慣れてしまっていいる自身の感覚の方も補正していく必要がありそうです・・・。

2013年12月2日月曜日

Leitz Summicron 5cm F2 (L) トリウムレンズ

 
 晩秋の京都へ出かけた際に、以前にも紹介したトリウム配合レンズの初期型沈胴ズミクロン(Lマウント)を持って行きました。この日は京都にしては昼間暖かく町歩きには最適な日和りだったのですが、残念ながらあまり時間がなかったので少し消化不良のまま帰途につく事となってしまいました。時間がたっぷりとある時には、ゆっくりと散策しながら京の町を歩いてみたいものです・・・。


 実際の見た目よりはややホワイトバランスがやや偏っているようにも感じますが(黄変の影響も多少あるのかもしれません。WBはオートです。)、解像感やコントラストにズミクロンらしいキレが見て取れます。


 ハイライト部は飛んでしまってフレアっぽくなっていますが、中間からシャドー部はしっかりと再現され、細部の表現もかなりシャープな描写です。


 わんこの毛並みや服の質感等とても自然な雰囲気で再現されており、背景のボケもうるさくなくて好印象のポートレートになったと思います。

2013年11月26日火曜日

KERN-PAILLARD 8mmシネカメラ用Dマウントレンズ


 スイスの光学メーカー『KERN-PAILLARD』(ケルン・パイヤール)製8mmシネカメラ用Dマウントの3本です。左から・・・

 【YVAR 36mm F2.8 AR】
 【YVAR 13mm F1.8】
 【PIZAR 5.5mm F2 AR】

望遠、標準、広角という並びになります。
 『PENTAX Qシリーズ』のミラーレス機をお持ちの方はマウントアダプターを介してDマウントレンズの画を楽しむことが出来ますが、マイクロフォーサーズ機でも ”ほんの少しだけ”  Dマウントレンズを楽しめる方法がありました。それは・・・「Dマウントのネジ径をCマウントのネジ径に変換する」という方法です。Cマウントのネジ径は約25mm、一方Dマウントは約15mm、この約10mmの差をステップアップリング(ネジ径拡張)により大きくするというやり方です・・・


 ①ステップアップリング(マウント径拡張部材)を、
 ②Dマウントレンズに付けて、
 ③【Cマウント-マイクロフォーサーズ】のマウントアダプターにセットし、
 ④マイクロフォーサーズ機に装着。

 勿論これだけではネジ径がCマウントになったというだけでフランジバックの差は埋められていません。最初に (”ほんの少しだけ” Dマウントレンズを楽しめる)と書いたのもこの点がポイントです。DマウントとCマウントのフランジバック差は約5mm強あるため、相当レンズを前に繰り出していることになり近接領域でしか合焦しない事になります。どんな感じの画になるかというと・・・


 【LEOTAX】の巻き上げノブを、望遠の【YVAR 36mm F2.8 AR】で撮った画です。どうでしょうか・・・まずまずしっかり撮れているという印象です。


 こちらは標準の【YVAR 13mm F1.8】ですが、イメージサークル全域が写り込み小さな鍵穴から覗いているような雰囲気で面白いですね。
 近接のマクロ的描写だけではそのレンズを十分に生かしていることにはなりませんが、大昔の8mmシネカメラ用レンズをこんな風に遊んでみるのも楽しいと思います。

2013年11月21日木曜日

Leitz Summaron 3.5cmF3.5 (L)

 

 前回紹介した【沈胴エルマー】がバルナック時代『標準レンズ』のスタンダードなら、今回の【ズマロン3.5cmF3.5(L)】はライカ『広角レンズ』の代表選手と言える存在の一本かもしれません。
 コンパクトなレンズですが重量感があり、製造から60年が経過した今でもガチッとした剛性感は失せていません。絞りリングがヘリコイドと一体で回転する構造ですので、ピントを決めてから絞り値を変更する操作には若干の不便さを感じますが、広角系レンズですので絞り込んでパンフォーカスで狙うといった撮影手法が多いことからするとこの点も気にするほどの事ではなくなります。
 曇り玉も多いズマロンですが比較的綺麗な光学系のこの一本はコントラストも高くシャープな写りを味わえます。ただマイクロフォーサーズでは本来の画角を生かせていないので、やはりフルサイズ機で本来の写りを堪能してみたいという思いに駆られますね・・・【SONY α7】も発売になったようなので・・・。


 クリアな光学系という事ももあってなかなかシャープな描写です。


 曇天の元での撮影でコントラストも低くなりがちな条件ですが、発色が渋いというか、やや色のりが地味な印象です。


 シャープさはそこそこといった感じで、開放から2~3段絞っても大きな変化は見られませんでした。キレを期待するよりも、この甘さや柔らかさを生かす被写体を選び、オールドレンズらしい写りを楽しむ一本と言えるかもしれません。

2013年11月20日水曜日

Leitz Elmar 5cmF3.5 (L)


1951年製、沈胴エルマー5cmF3.5(Lマウント)です。クロームメッキで最小絞りF22の沈胴エルマーは製造本数も多くライツレンズの中でも最も入手し易い一本で、バルナック型ライカのスタンダードレンズであることは勿論、数多あるオールドレンズの中でも代表選手に挙げられる一本だと思います。
 『ライカ』などには全く縁の無かった二十代の頃、中古カメラ店のショーケースに並ぶ沈胴エルマーを見て「なんでこんなにちっちゃいレンズで、メッキもスレてて、レンズにもキズがあるのに、こんなに高いのか?」と不思議に思っていたのですが、今となっては「ニッケルだ、赤エルマーだ、3.5cmだ、9cmだ」とエルマーだけ見ていても十分楽しめてしまうのがオールドレンズの魅力であり魔力なのかもしれません(笑)

2013年11月11日月曜日

Elgeet 1inch F1.5 (C)


 粗めに加工されたリングのローレットとクロームメッキが美しいCマウントのアメリカ製シネレンズ 【ELGEET 1inch F1.5(C)】 エルジート1インチ(25mm)です。
 Cマウントの25mm(1inch)レンズはこれまでにもご紹介したように・・・ウォーレンサックやベル&ハウエル、ケルンやサンベルティオ、シュナイダーやテーラーホブソン等々・・・様々なレンズに溢れています。それら一本一本は個性的で特徴的なデザインを纏い、写りに関しても各々が個性豊かで面白味に溢れ『オールドレンズ』の奥深さや味わいを存分に楽しむ事が出来るレンズ群と言えそうです。
 このエルジートは大きさの割に重量感があり金属とガラスの質量を手の中にしっかりと実感出来るレンズです。ヘリコイドにクリックストップが設けられているのも特徴的で、距離目盛りの指標毎(feet) ∞-50-25-15-10-8-・・・ にクリックポイントがあります。


 イメージサークルは25mmCマウントシネレンズの中でも小さい部類に入り、マイクロフォーサーズのアスペクト比(4:3)ではこの様にしっかりと四隅がケラレてしまいます。
 絞り開放でもフォーカス部分のシャープさとコントラストの高さは十分なレベルでアメリカ製シネレンズらしい写りと言えそうです。

2013年10月30日水曜日

Leitz Summar 5cmF2 (L)


 1937年製、ライツLマウント【Leitz Summar 5cmF2】ズマールです。ネット上で『ズマール』を検索すると『前玉の硝材が柔らかいためキズがあるものが多くソフトな描写となる』との話が溢れています。 実際に中古カメラショップに並んでいるズマールを見てみると一目見てキズだらけという個体もよく見かけます。一方で『キズの無いミントコンディションのものはとてもシャープである』という情報もあり、実際のところはどうなのか? 自分の目で確かめて試してみたいと思わせてくれるレンズの一本です。
 ではどんな状態の個体でそれを試すのがいいのか迷うところでありますが、一目見てキズや曇りのある個体では実際に撮影するまでもなく低コントラストでフレアな写りとなるはずですので、やはりある程度状態の良いもので試してみたいと思います。


 この個体は前玉を見ると若干スレ汚れは見られますが、深いキズ等は無くズマールとしてはかなり綺麗な状態だと思います。 後玉は更に良好で微かな汚れが見られる程度、内部は目で見て分かる塵が数か所確認できますが曇りが無いのがポイントです。 全体的に見て良好な部類に入ると思われる光学系を持ったこのズマールで早速試し撮りしてみました。


 絞り開放でも十分にシャープさを実感させてくれますし、コントラストもしっかりしており、フォーカス部分から背景へのボケ具合もとてもなだらかで柔らかな雰囲気はとても好印象です。
 このように室内のフラットな光源下での撮影だけでは一概に言えませんが、予想以上に雰囲気のある写りに満足できる結果となりました。屋外での試し撮りも期待が持てそうです・・・。
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 雨上がり曇り空の元、散歩がてらにズマール【Leitz Summar 5cmF2(L)】の試し撮りです。


 水滴の周りなどもっとハロが見られるかと思いましたが、高コントラストでシャープな写りです。


 こちらはややシャドーにしまりがなくやや低コントラストに見えますが、フォーカスポイントはくっきりシャープで前後のボケも柔らかく、いかにもオールドレンズといった雰囲気が出ていると思います。


 色のりはやや渋い印象ですが、花びらのエッジ部分等に気になる滲みも見られません。 
 
 

2013年10月29日火曜日

Carl Zeiss Jena Pancolor 50mmF1.8 & Tessar 50mm F2.8 (M42)


 カールツァイスイエナ製M42マウント、ゼブラ柄の50mmレンズ2本です。左が『Carl Zeiss』銘の入っていない『aus JENA DDR』表記となっている時代の 【Pancolar 50mmF1.8】、右が【Tessar 50mmF2.8】です。ピント、絞りの両リングが白黒ゼブラ柄で、距離指標がメートル(白文字)とフィート(橙文字)が並記されている基本デザインはほぼ同じこの2本ですが、開放F値はパンカラーが1.8、テッサーが2.8とパンカラーが一段分明るく、レンズ径はテッサーの前玉が約20mmであるのに対してパンカラーは約26mmと一回り大きくなっていす。2本並べてみるとコーティングカラーの違いもはっきりと分かります。


 キレの良さを感じるパンカラーです。


 2本共レンズの状態は比較的良好なのですが、テッサーはハイライト部のフレアっぽさが感じられます。

2013年10月24日木曜日

Taylor-Hobson COOKE KINIC 1inchF1.5 (C)


 ヴィンテージ感に溢れた英国製Cマウントシネレンズ【TAYLOR-HOBSON COOKE KINIC 1inchF1.5(C)】テーラーホブゾン/クック キニック1インチです。黒ペイントの施されたフード部分の端が擦れて真鍮の地が出てきていますが、これがかえってオールドレンズらしい雰囲気を醸し出し味わいある外観となっています。リングのローレット加工部分は薄く、絞り値もレンズの正面側に小さく刻まれているだけなので操作性が良いとは言えませんが、ピントと絞りで径が異なり段付きとなっていて長めのフード部とのバランスも良く、とても個性的で格好良いデザインだと思います。



 周辺部、アウトフォーカス部の流れが顕著に現れていますね。画面中央部のフォーカスポイントとその周辺の落差がかなり大きく、これまでもいくつかのCマウントシネレンズを紹介してきましたが、その中でもトップクラスの流れ具合です。静止画なのに見ていると目が回る・・・”グルグルぼけ”の面白さを積極的に楽しみたい方にはおすすめの一本です。