2013年10月30日水曜日

Leitz Summar 5cmF2 (L)


 1937年製、ライツLマウント【Leitz Summar 5cmF2】ズマールです。ネット上で『ズマール』を検索すると『前玉の硝材が柔らかいためキズがあるものが多くソフトな描写となる』との話が溢れています。 実際に中古カメラショップに並んでいるズマールを見てみると一目見てキズだらけという個体もよく見かけます。一方で『キズの無いミントコンディションのものはとてもシャープである』という情報もあり、実際のところはどうなのか? 自分の目で確かめて試してみたいと思わせてくれるレンズの一本です。
 ではどんな状態の個体でそれを試すのがいいのか迷うところでありますが、一目見てキズや曇りのある個体では実際に撮影するまでもなく低コントラストでフレアな写りとなるはずですので、やはりある程度状態の良いもので試してみたいと思います。


 この個体は前玉を見ると若干スレ汚れは見られますが、深いキズ等は無くズマールとしてはかなり綺麗な状態だと思います。 後玉は更に良好で微かな汚れが見られる程度、内部は目で見て分かる塵が数か所確認できますが曇りが無いのがポイントです。 全体的に見て良好な部類に入ると思われる光学系を持ったこのズマールで早速試し撮りしてみました。


 絞り開放でも十分にシャープさを実感させてくれますし、コントラストもしっかりしており、フォーカス部分から背景へのボケ具合もとてもなだらかで柔らかな雰囲気はとても好印象です。
 このように室内のフラットな光源下での撮影だけでは一概に言えませんが、予想以上に雰囲気のある写りに満足できる結果となりました。屋外での試し撮りも期待が持てそうです・・・。
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 雨上がり曇り空の元、散歩がてらにズマール【Leitz Summar 5cmF2(L)】の試し撮りです。


 水滴の周りなどもっとハロが見られるかと思いましたが、高コントラストでシャープな写りです。


 こちらはややシャドーにしまりがなくやや低コントラストに見えますが、フォーカスポイントはくっきりシャープで前後のボケも柔らかく、いかにもオールドレンズといった雰囲気が出ていると思います。


 色のりはやや渋い印象ですが、花びらのエッジ部分等に気になる滲みも見られません。 
 
 

2013年10月29日火曜日

Carl Zeiss Jena Pancolor 50mmF1.8 & Tessar 50mm F2.8 (M42)


 カールツァイスイエナ製M42マウント、ゼブラ柄の50mmレンズ2本です。左が『Carl Zeiss』銘の入っていない『aus JENA DDR』表記となっている時代の 【Pancolar 50mmF1.8】、右が【Tessar 50mmF2.8】です。ピント、絞りの両リングが白黒ゼブラ柄で、距離指標がメートル(白文字)とフィート(橙文字)が並記されている基本デザインはほぼ同じこの2本ですが、開放F値はパンカラーが1.8、テッサーが2.8とパンカラーが一段分明るく、レンズ径はテッサーの前玉が約20mmであるのに対してパンカラーは約26mmと一回り大きくなっていす。2本並べてみるとコーティングカラーの違いもはっきりと分かります。


 キレの良さを感じるパンカラーです。


 2本共レンズの状態は比較的良好なのですが、テッサーはハイライト部のフレアっぽさが感じられます。

2013年10月24日木曜日

Taylor-Hobson COOKE KINIC 1inchF1.5 (C)


 ヴィンテージ感に溢れた英国製Cマウントシネレンズ【TAYLOR-HOBSON COOKE KINIC 1inchF1.5(C)】テーラーホブゾン/クック キニック1インチです。黒ペイントの施されたフード部分の端が擦れて真鍮の地が出てきていますが、これがかえってオールドレンズらしい雰囲気を醸し出し味わいある外観となっています。リングのローレット加工部分は薄く、絞り値もレンズの正面側に小さく刻まれているだけなので操作性が良いとは言えませんが、ピントと絞りで径が異なり段付きとなっていて長めのフード部とのバランスも良く、とても個性的で格好良いデザインだと思います。



 周辺部、アウトフォーカス部の流れが顕著に現れていますね。画面中央部のフォーカスポイントとその周辺の落差がかなり大きく、これまでもいくつかのCマウントシネレンズを紹介してきましたが、その中でもトップクラスの流れ具合です。静止画なのに見ていると目が回る・・・”グルグルぼけ”の面白さを積極的に楽しみたい方にはおすすめの一本です。

2013年10月18日金曜日

Schneider-Kreuznach Xenon 25mmF1.4 (C)


 シュナイダー・クロイツナッハ製のCマウントレンズ【Schneider-Kreuznach Xenon 25mmF1.4】クセノン25mmです。ウェブ上での情報によると製造年は1992年あたりとなるようですので『Old Lens』 の範疇からはやや外れてしまいますが、これまでに紹介した1インチクラスのCマウントレンズ同様にとても味わい深い写りが楽しめる大口径シネレンズとなります。


 絞り開放でのアウトフォーカス部の流れ具合は以前にも紹介した【BELL&HOWELL TAYLOR-HOBSON 1inchF1.9】【BAUSCH&LOMB 26mmF1.9 ANIMAR】に似た描写ですが、こちらのクセノンは時代も新しくコーティングもマルチコートでよりクリアですっきりとしたヌケの良さが感じられます。


 この「秋桜」も絞りは開放です。数段絞り込めば急激に画面全域でシャープさが際立ってくるのですが、面白みは逆に減少してしまいます。癖のあるシネレンズですから”味”をじっくり堪能するためにも絞りは開けていきたいですね。ただし開放F値が1.4と明るいレンズですので晴天の屋外ではNDフィルターが必要になってくるかもしれません。

2013年10月16日水曜日

Zeiss Ikon Albada Finder 433/25


 ツァイスイコンの刻印が入った折り畳み式のファインダーです。アルバダ式といわれるタイプで対物と接眼レンズが折り畳まれて縦横約40mm×30mm厚さ10mm強というコンパクトな寸法に収まるとてもシンプルですがユニークな構造のファインダーです。


【収納時】
 

【使用時】

 この一品は50mmと85mmのフレーム枠を持ち、接眼側レンズが微かに黄色味がかっておりやや低コントラストな見え具合なのですが、倍率がほぼ等倍ですのでとても自然に見やすく感じます。

2013年10月9日水曜日

SUNSHADE for Summitar "SOOPD"


 ライツズミタール5cm用折り畳み式フードです。折り畳んでしまえばほぼ名刺サイズでポケットにも楽に収まる薄さなのですが・・・レンズに装着するとそのデカさに加え、何やら異質な雰囲気が漂ってくるように感じます。実用面では街角スナップとなるとその大きさが気になり、結構目立ってしまいます。ただ遮光とハレ切りはしっかり機能してくれるのと、これを装着することで普段とは少し違う気分で被写体に向き合う事が出来る、そんな力を秘めているのがオールドレンズのアクセサリーなのではないでしょうか。

2013年10月6日日曜日

Leitz Hektor 2.8cmF6.3 (L)


 以前に紹介したエルマー3.5cmに次いでライツレンズ最初期の広角系【Leitz Hektor 2.8cm F6.3(L)】ヘクトールです。クロームメッキでコーティングなし大陸絞りの1939年製、74歳となる一本ですが光学系に酷い曇りや大きな傷も無くとても状態の良いレンズです。エルマー同様に絞りはレンズ前面に設けられた爪を操作するわけですが、このヘクトールは開放F値6.3の広角系ですので、絞りを操作して被写界深度を意図するよりも常にパンフォーカスで構図のみ意識しながらという撮影になりそうです。


 エルマー3.5cmよりもさらに薄くフランジ面からレンズ先端までは約13mm、正に”パンケーキ”・・・とてもコンパクトなサイズですが手にすると精巧さと重量感が感じられる点は他のライツレンズ同様です。


 発色もしっかりしておりシャープさも十分感じられ自然なコントラストは当初抱いていたイメージよりもかなり好印象の描写性能です。




 28mmという広角レンズですからマイクロフォーサーズ機ではなく、やはりフルサイズ機でこのヘクトールを試してみたくなります。そう感じるのも試写する前に抱いていた先入観がガラッと覆されたてしまったからで、このキレとシャープさを本来の画角で存分に楽しんでみたくなる・・・これもオールドレンズの魅力であり魔力なのかもしれません。

2013年10月2日水曜日

Canon SERENAR 50mmF1.9 (L)


 沈胴式ライカLマウントの標準大口径【Canon SERENAR 50mmF1.9(L)】です。重厚感のある造りの鏡胴に薄いパープルのコーティングが施されたレンズが相まってオールドレンズならではの輝きを放っている一品です。


 基本的には【Leitz Summitar 5cmF2(L)】と同じデザイン構成なのですが、鏡胴に沈胴方向とロック回転方向の矢印が刻まれているのが特徴です。


 絞りリングはクリックストップの無い無段階タイプで、15枚の絞り羽根がどの絞り値でも綺麗な円形絞りを形作ります。


 絞り開放でのサンプル写真ですが、やや低いコントラストがポートレート写真にはかえって向いているように感じます。


 ズミタール5cmF2(右)とCanonセレナー50mmF1.9(左)・・・外観の基本デザインはほとんど同じと言えるこの2本です。セレナーは開放F値を1.9としズミタールよりも僅かに明るいレンズを実現しているわけですが、その影響なのか小絞り側の回折現象を回避できなかったのか?最小絞りはF11とズミタールのF16よりも一段開いた値となっています。また絞りに関してはズミタールの絞り羽根が10枚なのに対し、セレナーは15枚と凝った造りになっているのも、当時の精機光学のレンズ設計に対する想いが表れているようで面白いポイントです。他には沈胴機構をロックをさせる鏡胴の爪形状が異なっていたり、レンズ最前面の前玉ブロックを止めるイモネジの有無等、細かい相違点はいくつか見つけることができます。では写りに関してはどうでしょうか・・・


 絞り開放での比較サンプルです。セレナーの方はコントラストが低いのですが合焦部のシャープさはまずまずで好印象の写りです。ズミタールは比較的高コントラストでエッジのシャープさもしっかりとしていますが、ややボケの具合がうるさく感じるかなという印象です。


 こちらの比較サンプルでもコントラストの違いがはっきりと分かります。両レンズとも酷い曇りやキズはありませんのでほぼレンズの性能としてこの描写の違いが表れていると言えそうです。微かに紗がかかったような柔らかい描写が雰囲気のあるポートレート写真を生んでくれそうなセレナー50mmF1.9は当初のイメージよりもかなり好印象の結果でありました。