2015年3月4日水曜日

Leitz Summarit 5cm F1.5 (L) クモリ玉


 1952年製Lマウントの【Leitz Summarit 5cm F1.5 (L)】ズマリット・・・角形の専用フード【XOONS/12520】を付けた姿は【SONY α7】の直線的なデザインと良くマッチしており、重量面や操作面でもバランスのとれた使いやすい組み合わせとなります。


 この個体は鏡胴に『Taylor,Taylor & Hobson U.S. Pat Nr.2019985』の刻印があるタイプで、クセノンからズマリットへ移行した初期に米英向けに輸出されたモデルということになりそうです。外観には目立ったキズやアタリも無く操作系もスムーズで快適な撮影が可能なコンディションなのですが、残念ながら肝心のレンズの状態がイマイチです。


 後玉側はコーティングもまずまず綺麗なのですが、前玉前面はスレと線キズがしっかりと確認でき、前玉の裏と中玉あたりにうっすらとクモリが発生しています。開放ではハロが出て淡い描写で、光線状況によっては盛大にゴーストフレアが出るという特徴を持つズマリットではありますが、この様なレンズ状態ですので・・・


・・・本来のズマリットの特性である開放での淡い描写よりも更に甘々の写りとなっています。以前に紹介した同じLマウントのズマリットはかなり綺麗な品でしたので、レンズの状態による差をはっきりと実感してしまいます。


 シャドーにしまりが無いため単純にモノクロ変換しただけではかなり低コントラストの画となります。


 絞り値による変化を中央部のフォーカスポイントで比較して見てみても・・・


・・・数段絞ることでシャープさは得られていきますが、コントラストに関してはクモリの影響がどうしても残ったままといった様子です。

 今回の個体の様にちょっと悪いコンディションのレンズでもそれを個性として積極的に作品作りに生かすことが出来れば『オールドレンズ』を使う意味が出てきて面白いと思います。ただ難しいのは低いコントラストを利用してハイキー調の優しい写真に仕上げようとしても単に色のりが渋いだけの一枚が出来上がってしまうなんて事も多いわけです。でもそこはやはり何度もトライしてレンズの特徴を自分のイメージにマッチさせるしかないのかもしれません。それが可能なのが『デジタル+オールドレンズ』の組み合わせで、うまくはまった時の喜びは『オールドレンズ』ならではのものと言えると思います。