2012年9月24日月曜日

Canon 50mmF1.4 (L)


 キャノン50mmF1.4(L)(#64816)~1959年~、キャノン製のライカLマウント大口径標準レンズです。

 レンズ構成:4群6枚
 最小絞り:f22
 最短撮影距離:1m
 フィルター径:48mm

 レンズ前面から黒、シルバーと交互に色分けられたデザインがオールドレンズらしい雰囲気を存分に漂わせている美しい外観ですね。大口径レンズらしく大きさ(長さ約50mm×径約55mm)の割にずっしりと重量感が感じられます。正面を見るとガバッと大きく開口したレンズにアンバー系のコーティングがこれまた美しいです。


 サイドから見るとピントリングの幅に比べて、絞りリングがとても細いですね。使い勝手からするともう少し絞りリングの幅が広い方がいいかな思いますが、デザイン的にはスッキリとしてます。距離目盛りの表示も”メートル系”と”フィート系”が両方刻印されています。


 黒ボディのLUMIX GX1に装着しても違和感ないです・・・ピントリングの黒が効いていますね・・・ライカのズマリットを付けたときよりもよく似合っていると思います。重量的にもズマリットよりは軽い(約250g)のでバランスはとてもいい感じです。


 写りはどうでしょう・・・まずはモノクロ&絞り開放で我が家のワンコを撮った作例ですが・・・変なクセのない、自然な描写だと思います。もう少しボケ具合が大きくて柔らかければ雰囲気のあるポートレートになりそうですが、マイクロフォーサーズではこんなものかもしれませんね。


 そしてこちらはカラー&絞り開放ですが・・・ピント部分のシャープさもしっかりして、発色も素直でまずまず綺麗な描写だと思います。
 前回紹介したミノルタ(千代田光学)の『梅鉢』同様に、レンズ自体の造りとその描写力から、誠実で真面目な日本の工業製品="made in japan"を感じることが出来る、【Canon LENS 50mm F1.4(L)】でした。

2012年9月23日日曜日

Chiyoko C SUPER ROKKOR 45mmF2.8 (L)


 スーパーロッコール45mm F2.8(L)(#18393)~1950年代製造、ミノルタ(当時は千代田光学精工株式会社)製のライカLマウント標準レンズです。

 レンズ構成:3群5枚
 最小絞り:f16
 最短撮影距離:1m
 フィルター径:34m(19mm)


 ピントリングの形状が”梅鉢”に似ていることから、『梅鉢レンズ』という愛称で呼ばれる人気のレンズです。 本来”梅鉢”とは5弁の花びらが図案化されたもの・・・からすると、このピントリングは6弁なので・・・「梅鉢?」となってしまいますが、細かい点は横に置いておきましょう。とにかくパッと目を引く外観形状を持っていること、そしてデザインだけではなく造りがとてもしっかりしているのが特徴です。
 長さ約33mm×径約48mm程の小さい形状ですが、手にしたときの重量感はしっかり感じられ、レンズ最前面の絞りリング、重厚感溢れる削り出しのピントリング、鏡胴部のメッキ、梨地仕上げの台座部、各スケールの刻印・・・全てが丁寧に手を抜かずに製造された一品であると思います。


 ピント、絞り共にリングの操作感はとても良い感触でスムースに動くので、触って動かしているだけでも楽しめてしまう一品です。一つ気になる点は絞りリングの操作でピントリングも動いてしまうトルクバランスになっているところです。開放でピントを決めてから絞り操作して・・・という時に、この品はピントリングにレバーが付いた「後期型」と呼ばれるものなので、レバーに指を添えピント固定した状態で絞りを操作するという使い方も有効かなと思います。


 重量感のあるレンズですが鏡胴の長さも短くコンパクトなので、ミラーレス一眼に装着すると見た目にも重量バランス的にもとてもよくマッチすると思います。違和感が無いですね。


 マイクロフォーサーズで試写したところ、意外とコントラストもしっかりしてシャープな解像感が得られるという印象です。オールドレンズらしく逆光気味の光線状況ではフレアっぽく渋い色味になりがちですが、順光条件では色のり、コントラストもなかなかの実力ではないでしょうか。
 特徴的な外観のデザインだけではなく、造りと性能がしっかりしているからこそ愛称がついて人気を集めているのだなと感じる【Chiyoko C SUPER ROKKOR 45mm F2.8(L)】でした。

2012年9月19日水曜日

Leitz Summarit 5cmF1.5 (L)


 ライカ ズマリット5cm F1.5(#821607)~1950年製、大口径のLマウント標準レンズです。

 レンズ構成:3群6枚
 最小絞り:f16
 最短撮影距離:1m
 フィルター径:41mm

 クロームメッキの寸胴ボディはスッキリとしたデザインで、洗練された印象を与えていますね。見た目はシンプルな外観のズマリットですが、手に持つとかなり重量感があり(約320g)大口径レンズに組み込まれたガラスの質量をずっしりと感じることが出来る一本です。
ヘリコイドリングに無限遠ストッパーも備えられており、”パチッ”と掛かるときの感触はエルマーよりも重厚感があり、精緻な作り込みを実感出来る瞬間だと思います。
絞りリング、ヘリコイドリング共に適度な幅と配置となっているので操作感は良く、シンプルなデザインが使いやすさに繋がってると言えそうです。


 小さいボディのミラーレス一眼に装着してもとてもよく似合うと思いますが、重量バランスからすると、やや前下がりでおじぎ気味になってしまいます。但しその分安定はするので慣れてしまえばぶれにくくなるといったメリットになるかもしれません。


 15枚で構成される絞り羽根は綺麗な円形絞りを形作ります。適度なクリック感の絞りリングを操作すると、なめらかな動きで絞り込まれ、造りの良さ、仕上げの良さを感じる一面です。


 写りに関しては絞り開放からF4あたりまではフレア気味で柔らかい印象です。大口径レンズですので絞り開放付近での被写界深度はとても浅く、ボケ具合が大きく印象づけられる結果となります。逆光~半逆光ではゴーストも出やすく色のりが薄く感じることもありますが、一方、絞り込んでハレ切りをしっかりとすれば意外なほどシャープな写りを見せてくれる一面もあり、このあたりの特徴が『クセ玉』と言われる所以なのかもしれませんね。いずれにしても被写体や光線の具合によって様々な写りが楽しめる一本と言えるのではないでしょうか。
 シンプルなデザインと、しっかりとした精緻な造り、そして柔らかさとシャープさを兼ね備えた面白味のある画作りが期待できる【Leitz Summarit 5cm F1.5(L)】でした。

2012年9月15日土曜日

Leitz Elmar (Red Scale) 5cmF3.5 (L)


 ライカ エルマー5cm F3.5(#1373358)~1956年製、被写界深度のスケールが赤い文字になっている、通称”赤エルマー(Red Scale Elmar)”と言われるものです。

 レンズ構成:3群4枚
 最小絞り:f22
 最短撮影距離:1m
 フィルター径:36m(19mm)


 なんと言っても沈胴式の外観が特徴的で、マウント部のプレート、台形の台座から伸びる無限遠ロックのノブとメッキの鏡胴、そしてレンズ正面の絞りリング・・・独特で特異なデザインですね。
 未使用時には鏡胴を沈めて携行性を高めるために必然的に出来上がったデザインなのだと思いますが、不思議な佇まいを持った魅力ある形だと感じます。
 また非常にコンパクトなサイズなのですが、手に取ると見た目以上に金属とガラスの重量感が感じられ、製造から半世紀以上経過したものとは思えないほど、沈胴部にガタも無く、ピント絞り共にスムースで、精緻な造りを実感出来るのも満足です。


 操作面では絞りの操作に若干慣れが必要かもしれません。レンズ正面に絞りリングが配置されツマミ部分の爪も小さいので、絞り値の確認と設定はレンズ正面をわざわざ見ないといけません。またフードを付けた場合、絞りリングの爪が指でつまみにくくなるといった点があります。慣れてしまえば問題無いのですが・・・。
 またこのエルマーだけに限ったことではありませんが、無限遠ロックのピンがアダプターと干渉してしまい、ピントリングを∞位置へ出し入れすることが出来ません。∞位置へ出し入れする場合には一旦レンズ自体を緩めて、無限遠ロックピンが押せるだけのスペースを浮かせ・・・ちょっと面倒です。


 写りはとても素直でクセの無い描写だと思います。オールドレンズらしく逆光ではゴーストやフレアが出ますが、順光での描写力はなかなかで、絞り開放からピント面はシャープで自然なボケ味、絞り込んでの解像感も期待値以上です。バルナック型ライカの標準レンズとして長年にわたって製造されてきただけの理由が分かります。
 特徴、性能、人気等々・・・色々な面から見てオールドレンズの代表選手と言ってもいいと思う
【Leitz Elmar 5cm F3.5】でした。

2012年9月11日火曜日

Leitz Elmar 9cmF4 (L)


 
 ライカ エルマー90mm F4(#1337137)~1956年製で、鏡胴の根本部分に革が貼り付けられた『戦後タイプ』と言われるものです。

 レンズ構成:3群4枚
 最小絞り:F32
 最短撮影距離:1m
 フィルター径:36mm

 クローム仕上げの外観に鏡胴根本部分の”貼り革の黒”がアクセントとなり、カメラに装着した時の雰囲気が良く、とてもお洒落なデザインだと思います。勿論、見た目だけではなく絞りリングやピントリングの操作感もスムースで、実用的にも使いやすいデザインですね。絞りリングは各絞り値でのクリックが無いタイプで、無段階に可変出来るものです。適度なトルク感の操作系は、親指と人差し指で絞りを、親指と中指でピントを操作しファインダーから目を離すことなく撮影することが可能な造りと言えます。


 外観だけではなく写りに関してもなかなかの実力です。絞り開放でもピント面はしっかりと描写され、ボケ味もクセのない自然で柔らかな雰囲気が表現されます。一方、絞り込めば解像感はグッと増して、非常に細密な描写となります。「半世紀以上前のレンズでもここまでしっかり写るのか・・・」と少々驚きです。
 マイクロフォーサーズ機に装着した場合、180mmレンズ(35mm換算)相当の画角になりますが、ポートレート、植物、静物写真などにはとても相性の良い一本となるのではないでしょうか。ライカLマウント望遠系レンズはあまり人気が無いのか、広角~標準レンズと比べてとてもお求めやすい価格帯なので、コストパフォーマンスの点からもお薦めの一本です。シンプルで格好良いデザイン、操作性がよく実用的、そして写りも満足の【Leitz Elmar 9cmF4(L)】でした。