2014年8月24日日曜日

Xenar & Tele-Xenar for ROBOT


 シュナイダー・クロイツナッハ製ロボット用レンズのクセナー2本です。

 【Schneider-Kreuznach Xenar 38mm F2.8(ROBOT)】

 ROBOT判としては標準系の一般的な38mmF2.8というスペックです。以前に紹介した同じシュナイダー製の【Xenon 40mmF1.9(ROBOT)】よりもおとなしめのシンプルなデザインもあって、リングの操作感も良好でサイズ的にもとても扱いやすいレンズです。


クセノン40mmF1.9はイメージサイズの小ささがはっきりと分かる周辺部でしたが、こちらのクセナー38mmF2.8は四隅にも大きな乱れや光量不足は見られず、フルサイズでも画面全域に素直な描写が得られています。コントラストも良好で絞り開放から中央部は繊細でシャープな印象です。

 【Schneider-Kreuznach Tele-Xenar 75mm F3.8(ROBOT)】

 中望遠系となるテレ・クセナー75mmF3.8です。シリアルナンバーからすると1950年代後半の製造かと思いますが、薄い汚れと微かなキズ、極小さいチリがあり年代なりの状態と言える光学系です。ヘリコイド、絞り(クリックストップなし)共にスムーズな操作感でクセナー38mm同様に扱いやすい一本です。


 開放ではかなり甘い描写で、この1カットはF8あたりまで絞っているのですがコントラストは低いままでキレを感じる描写ではないですね。レンズ状態がスカッとクリアとは言えない状態であることと、被写体全域に低照度の光が廻っている状態のライティングですので、自ずとふわっとした描写になる条件ではありますが、絞り込んでも大きな変化が得られないタイプのレンズといえるかもしれません。

2014年8月22日金曜日

Lマウント35mmF3.5の3本~その2

 ”オールドレンズ”それも広角系の”35mm”で撮影する事はあまり無いと思われる被写体、それは・・・「航空機」です。それも「飛んでいる航空機」を狙ってみようというわけです。35mmという焦点距離ですのである程度寄らないと画にならないので、着陸時のジェット機を間近に見ることが出来る航空機撮影の名所【大阪伊丹空港の千里川土手】に行ってきました。
 大型機が頭上をかすめるように着陸してくる瞬間はかなりの迫力で、これまで航空機写真の名作を数多く生み出してきたスポットというのがよく分かります。この日も何名かの航空ファンとおぼしき方が撮影に来られており、300~400mmクラスの単焦点と70-200mmあたりのズームを2台体制にして臨むという形が撮影スタイルの定番となっているようです。
 陽が落ちるにつれて滑走路のライトが輝き出すとかなりいい雰囲気の光線状況となるので、長いレンズで着陸間際のシーンを狙ってみたくなります。やっぱりAFでピントがガチッと食いついてくれる最新システムは羨ましいなと横目で見ながら、こちらは半世紀以上前のオールドレンズでどんな一枚が撮れるのかチャレンジです・・・。
 まずは【Wコムラー35mmF3.5(L)】から・・・、
 
 
 以前に紹介した【Wコムラー35mmF2.8(L)】でも現れていた”絞り開放付近での周辺光量不足”がこのレンズでも顕著に出ており、F8あたりまで絞り込んだこのカットはそれ程目立ちませんが・・・、四隅を見るとレベルが落ちていて、周辺部にマゼンタかぶりも出ているように感じられます。コントラストは3本の中でも一番しっかりしています。
 次は【Elmar 3.5cmF3.5(L)】・・・、
 
 
 ノンコートレンズらしいと言うのか、エルマーらしいと言うのでしょうか、中間調のコントラストがやや抑え気味でいかにもオールドレンズといった印象の写りです。
 最後に【W-NIKKOR・C 3.5cmF3.5(L)】・・・、
 
 
 前回の記事にも書いたとおり中玉の薄いクモリの影響がしっかりと出てしまっています。ピクセル等倍に拡大してみるとシャープネスはカチッとして解像感も十分得られているので、尚更クモリによるコントラスト低下が残念です。特にこの様な被写体ではミスマッチという写りになってしまいました。
 今回は広角オールドレンズで「航空機」を撮るというチャレンジでしたが、上記3枚を見ても分かるようになんだか似通ったものしか撮ることができず、3本の試し撮り比較としてもちょっと無理がありました。着陸時とはいえ頭上近くをかなりの速度で通過していく機体をしっかりと押さえるにはもっと練習が必要で、色々なイメージを膨らませておく必要がありそうです。直近まで近づく大型ジェット機を真下から狙うと35mmレンズでも画角からはみ出るサイズとなるので、もっと広角レンズでもいけそうですし、飛行機プラスもうワンポイント別の要素を組み合わせた一枚を狙ってみるのもよさそうです・・・。鉄道写真ファンの”撮り鉄”に対し、飛行機写真ファンは”撮り空”?とでも言うのでしょうか、はまってしまう気持ちがよく分かります。「航空機写真」ってほんと面白い、次回機会があればまた撮影に行ってみたいスポットとなりました。

2014年8月21日木曜日

Lマウント35mmF3.5の3本


 ライカLマウントの35mm、開放F3.5の3本を並べてみました。
  【W-NIKKOR・C 3.5cmF3.5(L)】
  【W.KOMURA 35mmF3.5(L)】
  【Elmar 3.5cmF3.5(L)】
 時代的にはエルマーが1930年代、WニッコールとWコムラーは1950年代ですので少し世代が異なりますが、各々が特徴的なデザインで大きさも少しずつ異なり、操作性や描写の違いを比較してみるのは面白そうな3本です。


 真横から見てみると大きさ、デザインの違いがよく分かります・・・なんと言ってもエルマー(右)の薄さが目立ちます。エルマー(右)とWニッコール(左)にはピントレバー兼無限遠ロックが設けられていますが、ベースプレートの厚みが2mm程と比較的厚く、無限遠を解除するときにピンがフランジ面に当たることは無いので、逃げの無いカメラボディやマウントアダプターに装着しても無限遠への出し入れは2本ともスムーズに行うことが出来ます。
 Wコムラー(中)のデザインもユニークですね・・・ブラックでペイントされたピントリングと前後のクロームメッキがとても綺麗な仕上げとなっています。フィルター枠になっている先端側のクロームメッキ部が絞りリングなのですが、エッジ部分に細かなローレットが刻まれているだけなので絞り操作時にちょっと指が滑ることがあります。どうやら専用のフードがあるようでこれを装着することを前提とした設計だったのかもしれません。
 Wニッコール(左)は安定感のあるデザインでこの3本の中では一番重く、手元のスケールで実測してみたところ重量は、Wニッコール:152g>Wコムラー:147g>エルマー:111gでした。


 正面から見てみても三本三様で・・・前玉の径はWニッコールとエルマーは約10mmと小さく、1950年代のWニッコールとWコムラーはコーティングありとなっています。レンズの状態は・・・小さな汚れとスレはあり、3本共に年代なりといったところでしょうか。Wニッコールが中玉にやや薄いクモリが見られ、エルマー、Wコムラーに比べるとやや抜けが悪いかなという印象です。
 ちょっと趣の異なるこの3本ですが、それぞれどんな描写を見せてくれるのか楽しみです。試し撮り結果は次回に・・・。オールドレンズでは積極的に撮らないかなと思われる被写体を選んでみました・・・。

2014年8月14日木曜日

東京光学 シムラー 5cmF3.5 (L)


 国産エルマーコピーレンズ・・・東京光学/トプコンのシムラー5cmF3.5(L)です。
 正面の銘板を見ない限りエルマーとの違いが分からないほどそっくりコピーされた外観です。メッキの質感も本家に劣らず良好で、リングの操作も好感触、沈胴機構は若干遊びが多いようにも感じられますが個体差の範囲と言えるかもしれません。ただこの固体、上の写真を見ても分かるように絞りリングの爪が絞り値の指標から大きくずれてしまっています。動きはスムーズで絞り羽根の開閉も問題ないのですが、絞り値の設定がわかりにくくなっているのが残念です。


 絞り開放です・・・ピント前後のボケ具合が特徴的で開放らしい写りですが、エルマーよりも高コントラストの描写が得られているように感じます。


 シャープネスも十分でなかなか好印象の写りです。
 同じエルマーコピーレンズと言える旧ソ連ロシアンレンズ【インダスター22 5cmF3.5(L)】もなかなか好印象の写りでしたが、このシムラーも予想以上・・・となるとまたまた撮り比べをしてみたくなります。