2013年1月10日木曜日

Wollensak CineRaptar 17mmF2.7 (C)


 新年初回に紹介させていただくレンズは・・・16mmシネカメラ用Cマウントレンズ『ウォーレンサック シネラプター 17mmF2.7』です。以前に紹介した【シネラプター1inchF1.9】は距離調整機構が付いたレンズでしたが、今回の『17mmF2.7』はヘリコイド無し固定焦点タイプのレンズです。写真を見て分かるようにとてもコンパクトで小さなレンズで、メッキのボディに絞り値とレンズ名が黒で刻まれているだけのあっさりとした外観です。光学系もヘリコイド機構を持たないので前後長は短く、クリックストップの無い絞りリングはとてもスムースな動きで7枚の絞り羽根を可動させます。小さい豆レンズですが、絞りリングの感触は良好でメッキの質感など造りはしっかりとしたレンズです。では写りの方はどんなものか、例によってマイクロフォーサーズ(LUMIX GX1)にて試写してみると・・・


 前後玉の径は約5mmという小ささで焦点距離が17mm、イメージサークルの小ささは想像できましたが、マイクロフォーサーズでは縦横比(1:1)でも四隅がしっかりとケラレていますね。フードを外してもケラレ具合はほとんど変わりません。固定焦点なので絞り開放付近では近接側にピントは合わず、数m~がピント範囲かなという印象です。近接側でピント合わせようとするとマウントネジをゆるめてレンズを繰り出してあげなければなりません。(上記撮影サンプルもこの方法で撮影したものです。)イメージサークルも小さく、解像感は期待できないレンズですが、コントラストと色のりは良いのでわざとケラレを生かした写真や動画撮影に使用しても面白い一本だと思います。

2012年12月20日木曜日

Nikon Cine-NIKKOR 13mmF1.9 (D)


 アメリカREVERE社製8mmシネカメラに付属していた【Cine-NIKKOR13mmF1.9(Dマウント)】です。外形は径24mm×長さ28mmほどで、なんと親指の半分位というとても小さなレンズです。このコンパクトサイズの中にレンズ、絞り機構、ヘリコイドが詰め込まれているんですね・・・驚きです。コンパクトなレンズはコンパクトなカメラにという事で、フランジバックが短くDマウントレンズをアダプターで装着出来る『PENTAX Q』に付けてみました・・・


 いやー何というバランスでしょうか。『PENTAX Q』自体が相当小さいカメラなのですが、これだけレンズが小さく見えると正に『豆レンズ』という表現が的確ですね。これだけ口径も小さいレンズだと写りも相応かなと・・・



 8mmシネ用という事でイメージサークルも小さいのでしょうが、『PENTAX Q』のセンサーサイズも小さいのでケラレは見られません。以前紹介したCマウントの『KERN YVAR』や『BELL&HOWELL LUMAX』に比べるとシャープさは随分劣りますね。やはり8mmシネ用といった感があります。ただ色のりやコントラストはまずまずで、被写体と背景処理次第では立体感のある面白い画ができそうな気もします。
 現代のレンズはAF機構もあって更に精密になっているのでしょうが、当時の小型部品の製造と組み立て、そして調整の技術が磨かれて現代に繋がっている・・・との想いに耽りながらこのかわいいレンズを触っていると、少しだけ重みが増してくるような気がしてきます。最近はケータイやスマホの画質も良くなりコンパクトデジカメの将来が危うくなってきているようですが、金属とガラスで出来た重量感と質感は何物にも代えられません・・・。

2012年12月6日木曜日

KERN-PAILLARD YVAR 16mmF2.8 AR (C)


 16mmシネカメラ用レンズの【KERN-PAILLARD YVAR 16mmF2.8 AR】(Cマウント)です。
 黒ペイントの鏡胴にシルバーリングがアクセントとなっている個性的な外観デザインのレンズですが、このレンズのもう一つの特徴として挙げられるのが被写界深度を示す指標です。絞りリングを開放側から順に絞っていくと、距離指標の上部に空けられた左右6ヶ(計12ヶ)の小さい丸穴にオレンジ色のマーカーが順次現れてくるという仕掛けになっています。距離指標の左右に絞り値毎の深度範囲が刻まれていたりするのが一般的ですが、このビジフォーカスと呼ばれる機構はつい絞りリングを回したくなってしまう・・・ちょっと変わった楽しいギミックですね。
 16mmシネ用という事でレンズ口径も小さく、写りに関してはどうなの?という第一印象でしたが、これが意外と・・・


マイクロフォーサーズLUMIX GX1の縦横比(1:1)で撮影したノートリミング画像です。フード等付けていませんが、四隅はしっかりとケラレてしまっています。中心部の画質をピクセル等倍で見てみると・・・


 とてもシャープな写りだと思います。これだけ写ればマイクロフォーサーズでもトリミング前提での撮影が十分出来そうですし、わざとケラレを生かした作品作りに使用するといった方向もありですね。
 ケルンといえばSWITARが人気のようですが、このYVARも十分実力を備えた一本だと思います。スイスの伝統が産んだ名レンズ・・・【KERN-PAILLARD YVAR 16mmF2.8 AR】です。

 コンパクトでかわいいサイズのイバーは小さめボディのカメラによく似合うのですが、PnasonicのLUMIX GX1に装着したらこんな感じになります。


 黒白カラーのレンズは黒ボディのカメラととても相性がいいですね。色、大きさ、重量、操作性・・・なかなかよいコンビだと思います。作例もモノクロのものを2点ほど・・・


 モノクロにすると四隅のケラレも一つの効果として生かせるかも知れませんね。中心部のシャープさと背景のボケ具合が面白いのが特徴です。更にこのレンズは近接側に結構寄れるのも特徴で、目一杯の30cm弱まで寄ってこの画角を生かした画作りも楽しめそうです。


 試し撮りは我が家のワンコをモデルにすることが多いのですが、カメラがあまり好きではないので・・・。おやつで釣りながら飽きないようにササッと撮影を済ませなければなりません。

2012年12月3日月曜日

Bell&Howell LUMAX 1inchF1.9 (C)


 16mmシネカメラ用レンズの【BELL&HOWELL LUMAX 1inchF1.9】(Cマウント)です。
 アルミ地の鏡胴と黒のフード部がシンプルなデザインで、写真でパッと見ただけだと大きいレンズの様にも感じますが、外径35mm長さ33mm程度のコンパクトなレンズです。
 外観の見栄えは派手さのないあっさり系ですが、造りはしっかりしておりアルミ削り出しと思われるリングの感触も悪くありません。


 リングのローレットも細く縦に細かく刻んでいるだけで、やや操作性に劣るかなという印象ですが、グリス交換しトルクが軽くなれば気にならないのかもしれません。小さいレンズほど適度なトルク感に調整しておくことが快適な撮影の為には必要ですね。


 近接側がかなり寄れるのが特徴の一つです。距離表示の最短値は1フィートと印されています。LUMIX GX1にアダプタ装着で撮影したところ25cm程度まで寄れています。マイクロフォーサーズでは四隅が僅かにケラレますが、合焦部はとてもシャープで、色のりも良く、コントラストもしっかりした、如何にも『アメリカ』らしい写りの性能だと思います。
 クローズアップから風景までこの一本で十分こなせる万能選手といった印象の【Bell&Howell LUMAX 1inchF1.9(C)】です。

2012年11月23日金曜日

Leitz SUMMICRON 5cm F2 (L) ~解像度

 前回、放射線量を計ってみた沈胴ズミクロン5cmF2(#1042349)の解像度が少しだけ分かる作例をご紹介・・・。


 全体画像はこんな感じ・・・


 真ん中の女の子の髪の毛に注目し、ピクセル等倍で見てみると・・・


 ここまで写っているんですね。他の箇所もよく見ると腕の産毛までがしっかりと確認出来ます。一枚の作例ですが、ズミクロンの性能が少しだけ見えてきたのではないでしょうか。

2012年11月8日木曜日

Leitz SUMMICRON 5cmF2 (L) ~ Radioactive Lens


 ライツ ズミクロン5cm F2(#1042349)~1952年製、沈胴構造のライカLマウント標準レンズです。

  レンズ構成:6群7枚
  最小絞り:f16
  最短撮影距離:1m
  フィルター径:39mm

 ライカがバルナック型からM型に移行する時期に登場した『ズミクロン』の最初期型で、何と言ってもその描写力、特に解像度の高さが最大の特徴なのですが、もう一つ特徴があります。それは・・・


 この淡く黄色味を帯びた前玉です。これは放射性物質である”酸化トリウム”が配合されたガラスを使用している為、経年変化で黄色化してくるのだそうです。トリウムを配合することで高屈折率を得ることが出来、解像力や収差補正に効果があるらしいのです。確かに実写したところ解像感は素晴らしいなと実感出来ましたが、それが”トリウム無し”レンズと比較してどの程度なのかは今後機会が出来れば試すこととして、まずはこのズミクロンが発している放射線量がどの程度のものなのか測定してみることにしました。そこで比較するために持ってきたのは・・・


 以前に紹介した同じライカレンズであるズミタール1949年製(写真右)と比較してみることにしました。近い年代で同じライカの沈胴50mmレンズということでズミタールと比較してみようという事です。使用した放射線測定器の精度は不明なので、本当に計測されるのか半信半疑だったのですが『ズミクロン』のレンズ前玉に測定器を近づけたところ・・・


出ました!計測は1秒毎の測定値が更新されるモードにて行ったのですが、線量値は2~5μSv/hの範囲で測定されています。アラームのしきい値を1μSv/hにセットしていたため、ブザーが”ピーピー”バイブが”ジージー”鳴り出す始末です。やはりこのズミクロンはトリウムレンズだったのだと変な感心をしながら、ズミタールの方を計測してみると・・・


 出ていません!ほぼ周辺環境と同程度の0.01~0.2μSv/hという測定値が表示されています。測定値はあくまで参考程度ということになりそうですが、はっきりとこの104万台ズミクロンは放射能レンズ/アトムレンズだと判明しました。


 レンズの写りや性能だけでなく当時の製造過程や配合材料などもエピソードとして捉えることが出来るのがオールドレンズの楽しみ方の一つだなと実感した【Leitz Summicron 5cmF2(L)】でした。

2012年10月28日日曜日

Carl Zeiss Tessar 40mmF3.5 (Rollei35)


 今回はレンズ単体ではなく、Rollei35に付いている【Carl Zeiss Tessar 40mmF3.5】です。


 沈胴構造のため未使用時にはこの様に収まっているレンズですが、左下に写っているボタンを押しながらレンズを引き出すと・・・


 綺麗なメッキが施されたレンズ鏡胴が現れます。レンズ最前面にピントリングがあり、距離計を持たないRollei35は目測での距離合わせとなります。小さなレンズですがピントリングの動きはガタが一切無くとてもしっとりとした感触です。


 Carl Zeiss名の入った銘板。レンズのコーティングも綺麗です。


 6枚構成の綺麗な絞り羽根もスムースな動きで精緻な造りを感じます。


 レンズシャッターのRollei35はシャッター音がとても静かです。巻き上げ、ピント調整、絞り操作、シャッター操作・・・全ての操作が軽快なコンパクトマニュアル機ですが、上質な部品が精度の高い造りで組み上げられているのが実感できる一台です。
 触って、眺めているだけでも楽しめる【Rollei35】でした。