黒い鏡胴部分にテーパーがついて先細りとなった形状が独特で、長さは異なりますがエルマーの105mm「マウンテンエルマー」をも連想させるデザインは、普段オールドレンズばかりに目が行っている人間を振り向かせるのに十分な力を秘めています。鏡胴側面にレンズ構成図をあしらうなど細かい芸もなかなか凝っていて、フードを付けた姿も美しく、白、黒どちらのボディに組み合わせてもよく似合いそうです。
勿論、クラシカルテイストの外観だけでなく、描写性能に関しては現代の技術が盛り込まれている訳なので、クリアで色のり豊かで自然なボケも素晴らしい写りがサンプル画像から見てとれます。更にカタログに記述されている・・・
高い精度で加工・調整された総金属製ヘリコイドユニットと、適度なトルクを生み出す高品質グリースの採用により、滑らかな操作感覚のフォーカシングを実現。微妙なピント調整を可能にしています。
・・・という記述からも窺えるように、操作感を大事に設計製造されている点も大いに惹かれるポイントです。こんな事を言われるととにかく実物を触ってみたくなりますが、発売は11月とのこと。そこで重量と大きさが近いレンズはないだろうかと、手元にあるオールドレンズを探してみると、ズミタールがほぼ同じ209gでした。ズミタールを手にしながらヘリアーの画を眺めて、あぁこんな重量感なのかと想像し、期待する。もう既にメーカーの仕掛けた戦略にどっぷりと嵌まっているような気がします。
このコンセプト・・・中には単なる懐古趣味だと捉える人もいるかも知れませんね。ただ個人的にはこのような単焦点のマニュアルフォーカスレンズは是非今後もラインナップを維持して欲しいと思いますし、第4、第5のヴィンテージラインにも期待をしてしまいます。メーカー価格が6.5万円、実売は税込5万円台のようです。決して安いレンズではありませんが、このコンセプトで販売本数を考えると、かなり頑張った価格設定のようにも思えてきます。お古レンズを2、3本整理してでもちょっと使ってみたい気になった一本です。