2013年10月2日水曜日

Canon SERENAR 50mmF1.9 (L)


 沈胴式ライカLマウントの標準大口径【Canon SERENAR 50mmF1.9(L)】です。重厚感のある造りの鏡胴に薄いパープルのコーティングが施されたレンズが相まってオールドレンズならではの輝きを放っている一品です。


 基本的には【Leitz Summitar 5cmF2(L)】と同じデザイン構成なのですが、鏡胴に沈胴方向とロック回転方向の矢印が刻まれているのが特徴です。


 絞りリングはクリックストップの無い無段階タイプで、15枚の絞り羽根がどの絞り値でも綺麗な円形絞りを形作ります。


 絞り開放でのサンプル写真ですが、やや低いコントラストがポートレート写真にはかえって向いているように感じます。


 ズミタール5cmF2(右)とCanonセレナー50mmF1.9(左)・・・外観の基本デザインはほとんど同じと言えるこの2本です。セレナーは開放F値を1.9としズミタールよりも僅かに明るいレンズを実現しているわけですが、その影響なのか小絞り側の回折現象を回避できなかったのか?最小絞りはF11とズミタールのF16よりも一段開いた値となっています。また絞りに関してはズミタールの絞り羽根が10枚なのに対し、セレナーは15枚と凝った造りになっているのも、当時の精機光学のレンズ設計に対する想いが表れているようで面白いポイントです。他には沈胴機構をロックをさせる鏡胴の爪形状が異なっていたり、レンズ最前面の前玉ブロックを止めるイモネジの有無等、細かい相違点はいくつか見つけることができます。では写りに関してはどうでしょうか・・・


 絞り開放での比較サンプルです。セレナーの方はコントラストが低いのですが合焦部のシャープさはまずまずで好印象の写りです。ズミタールは比較的高コントラストでエッジのシャープさもしっかりとしていますが、ややボケの具合がうるさく感じるかなという印象です。


 こちらの比較サンプルでもコントラストの違いがはっきりと分かります。両レンズとも酷い曇りやキズはありませんのでほぼレンズの性能としてこの描写の違いが表れていると言えそうです。微かに紗がかかったような柔らかい描写が雰囲気のあるポートレート写真を生んでくれそうなセレナー50mmF1.9は当初のイメージよりもかなり好印象の結果でありました。

0 件のコメント:

コメントを投稿