フランスのアンジェニューがアメリカ・映画機材製造の老舗であるベル&ハウエルに供給した16mmシネカメラ用Cマウントの大口径レンズ 【Angenieux 1inch F0.95 (C)】 です。フランス製のシネレンズと言えば以前にも紹介したサン・ベルチオ(LYTAR,CINOR)が味わい深い独特の描写を見せてくれるレンズでしたが、このアンジェニューもCマウント以外にALPA用やExakta用などのレンズが現在でも高い人気を得ています。
開放F0.95という値は数あるCマウントレンズ群の中でも最も明るい部類で、そのスペックがいかなる描写を導き出してくれるのか、絞りリングとフード枠に刻まれた二カ所の "0.95" がオールドレンズファンの心を揺さぶります。また明るさだけでなく・・・
アンバーとパープルの美しいコーティングが妖しく光を反射する様も、写りへの期待感を更に高めてくれます。『フランス製』,『アンジェニュー』,『F0.95』・・・とても興味をそそるキーワードからなるシネレンズの描写はどうなのか・・・イメージサークルのサイズを考えるとマイクロフォーサーズとのコンビがベストかと思いますが、まずはSONY α7でAPS-Cサイズにしたサンプル写真(絞り開放)です。
最短撮影距離は約45cmですが、まだ20cm程余裕を残した位置からの1カットです。室内での撮影ということもあってかコントラストの低下はさほど感じられず、シネレンズとしてはすっきりとした描写です。開放での滲み具合についても、この様なシーンでは甘い滲みはほとんど感じられず、合焦部のシャープさの方が際立っています。ワンコの顔をピクセル等倍で切り出してみると・・・
毛並みが細部まで描写されとてもリアルに再現されています。大胆なトリミングにも応えてくれそうな解像感です。
屋外はマイクロフォーサーズのLUMIX GX1で試してみました。晴天の元での絞り開放となるとシャッター速度1/4000では露出オーバーになってしまうケースがほとんどです。ISO100以下の感度と1/8000のシャッターを搭載するボディであってもNDフィルターが必要となるかもしれません。
デフォーカス部分に含まれるハイライトの滲みがかなり目立ちますね。
極端なぐるぐるボケが現れやすい条件ですが、 【Taylor-Hobson COOKE KINIC 1inchF1.5 (C)】 等と比較すると収差の残り具合は大人しめといえます。
前後左右に向かってなだらかにぼけていく様子はモノクロにすると際立ってきます。
開放でのピント面の薄さはもっとシビアなのかなと予想していましたが、ファインダーの内蔵されていないLUMIX GX1でも何とか撮影をこなせそうなレベルです。
シーンによっては盛大な滲みも現れる開放での撮影でしたが、合焦部のキレの良さはピカイチ、中心部だけ大胆に切り出したとしても十分鑑賞に堪える解像感が予想以上でした。シャープさと柔らかい甘さが同居し、これらが相乗効果によって印象的な画が生み出される、そんな不思議な感覚にさせてくれるのが【Angenieux 1inch F0.95(C)】でした。
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