3回続けてステレオカメラでしたので少し目先を変えて、今回はツァイス・イコン製一眼レフの最初期モデルである【Contaflex I】コンタフレックスI型を紹介します。レンズはツァイス・イエナ製テッサー45mmF2.8、シャッターはシンクロコンパー、露出計は無し、直線的でシンメトリカルな構成がとてもシンプルで好感の持てるデザインです。コンパクトなサイズ感で670g、巻き上げがノブ式ですのでちょっとまどろっこしいところがありますが、なんと言ってもファインダーがとても明るく見やすいのでピント合わせも快適で、当時としては相当使いやすい1台だったのではないかと思われます。
・・・と、コンタフレックス本体の話はここまでで、実は今回も・・・
・・・ステレオカメラとしてこのコンタフレックスを取り上げた次第です。その理由は、【STERITAR】ステリターというステレオアダプターが純正で用意されていたという点にあります。PENTAXや他のメーカーでも同じような商品がありますが、年代からして35mm判1コマをハーフ判に分割してステレオ写真とする最初の製品だったのではないかと推測されます。
ミラーで構成された(上写真左)ステレオアダプターはスクリューマウントになっているので、まず(上写真右)マウントアダプターに付ける必要があります。マウントアダプターには真下の位置にロックピンが付いていて、最後までねじ込み回していくとパチンと位置が決まるという構造です。
マウントアダプターにセットした状態で、カメラ本体のレンズ基部に切ってある溝に下側から滑り込ませていくと左右2カ所のラッチがかかり固定されます。それぞれのパーツはしっかりとした造りですので、これで概ねレンズセンターへの位置決めは出来ているようです。
実際に装着すると、この様な感じでレンズ前面にアダプターが固定され単眼から複眼に変わるという訳です。通常の1コマのフレーム内に左右2コマを分離して写すという原理ですので、画角は本来の45mmレンズからは狭くなります。また像が左右に分割されるので、ファインダー中央にあるスプリットイメージは使えなくなり、中央に黒い縦線も入ってしまいます。
色々な制約も出てくるレンズ前面配置アダプター方式でのステレオカメラですが、見た目の奇抜さであったり、単純にモノとしての面白さであったり、そして立体写真システムとしての機能そのものと、様々な側面から楽しめる一品が、【Contaflex I】と【STERITAR】なのではと思います。
ここまで4回連続でステレオカメラを紹介してきましたが、どれも1950年代の個性的な機種ばかりです。これ以外にも数多くのステレオカメラがあって到底網羅することは不可能なのですが、過去のカメラ史を振り返る上で一つの大きなジャンルであり、外装デザイン的にも機能デザインとしても『カメラのデザイン』を考える上で非常に興味深い一群なのではと思います。またこれらカメラに触れていると、当時の立体写真に対する人々の『熱』が伝わってくるようで、少し普段と違う視点からちょっと変わったカメラに触れてみるのもいいものだなと感じた数日間でした。
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