2014年10月26日日曜日

MIR-20M MC 20mm F3.5 (M42)


 七色に輝くコーティングの反射光を見ていると、レンズの奥に吸い込まれていきそうな感覚に陥る巨大な前玉の超広角レンズ【MIR-20M MC 20mmF3.5(M42)】ロシア・KMZ製のミール20mmです。
 このミール20mmというレンズは1970年代初頭には世に出ているようで、以前紹介したコーティングが施されていないタイプが前期型となります。今回のマルチコートMCタイプは後期型で、なんと近年まで製造が続いているとの事。1930~60年代ならまだしも、20~21世紀にまたがって40年以上に渡って同一のレンズ設計のまま生産されているという点は驚きです。

 
 前期型と後期型ではコーティングの有無だけでなく、鏡胴やリングのデザインも異なり、こちらの後期型は若干外径が小さくなっています。前期型はピントリング部の最大径が約90mmあったのに対し、後期型は約80mmと10mm程シュリンクされています。ただこの後期型はピントリングの造形が”ブルドーザーのキャタピラーの様”な、かなり厳ついデザインとなっていますので、見た目だけではこちらの方が重量級に見えるかもしれません。ところがリングやフード部分など樹脂製となっている部材も多く、質感や操作感に関しては総金属製である前期型の方に軍配が挙がりそうです。
 
 
 レンズ前面にフィルター枠が設けられていない点もこのミール20mmの特徴で、後玉側に付ける専用のフィルターが用意されています。枠は樹脂製でネジ径が約28mmの小さなフィルターですので、モノとしてはおまけ程度の品質です。これを実際に装着すると・・・
 
 
・・・この様にピッタリとはまります。ただネジ切りが浅いのでカメラ本体へ装着した後にフィルターだけ脱落してしまわないようしっかりと装着確認をしておく必要がありそうです。
 
 
 
 
 
 
 写りに関しては高いコントラストの描写が好印象で、ノンコートの前期型とは明らかに違いとして現れてくるポイントだと思います。ただ細部を見てみると繊細さはあまり感じられず、線がしっかりとした描写であるという特徴は前期型と同様です。
 引いてワイドに情景をとらえる広角本来のアングルから、最短18cmまでグッと寄ってのマクロ的撮影までこなし、歪曲も十分に抑えられている、そんな万能性を持つレンズが【MIR-20M MC 20mmF3.5(M42)】です。
 


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